2006-09-01から1ヶ月間の記事一覧

「遅い」コミュニケーション

このところ、僕が初めてインターネットを体験したときの興奮は一体何だったのかと考えている。インターネット体験と言っても、正確にはウェブ体験のことで、たしか1996年にブラウザのネットスケープ1(?)で坂本龍一さんのsitesakamotoをブラウズした時の…

梅田さんのYouTube分析

IT

梅田さんの最新エントリーで紹介されている「シリコンバレーからの手紙120」を読んで唸った。「ITビッグビジネス」の神髄を垣間みた気分になった。 「『確信犯』的な態度を貫く『ユーチューブ』の加速感」http://d.hatena.ne.jp/umedamochio/20060916 もう2…

写真の批評性

<HASHI(橋村奉臣)展>をご覧になった『横浜逍遥亭』の中山さんの瑞々しい報告を読んで、心が動いた。 2006/09/17(日)「写真展をはしごする」http://d.hatena.ne.jp/taknakayama/20060917/p1 写真展のオフィシャル・ウェブサイトで『一瞬の永遠』シリー…

泉麻人さんの流儀

概念、カテゴリー、論理等の「形式」の生成や構築に関わる仕事が多い中で、それとは真逆の仕事に強く惹かれてきた。そんな中でも、概念やカテゴリーを徹底的に退けるような態度を貫く線で、従来の「詩」というジャンルを解体し続ける詩人の吉増剛造さん、既…

折口信夫とマイルス

雑誌『國文學』9月号「折口信夫---新しく見えてきた像(かたち)」に吉増剛造さんの尋常ならざるテクスト「常世へ、底凝(ソコ)りの常世へおりていく------「妣(ハヽ)ノ声」他」が掲載されている。それは折口信夫の「妣が国へ・常世へ 異郷意識の起伏」(…

リヒターの灰色の絵画

以前言及した『GERHARD RICHTER ゲルハルト・リヒター』所収の林道郎氏の論考「灰色の絵画」を再読した。 「リヒターの絵画においてグレイという色彩(あるいは非色彩)が特別の意味をもっている……」と書き始められる林道郎氏の論考「灰色の絵画」はグレイ、…

ウェブ進化とエグジログラフィ

ウェブについてちゃんと考えることはとても難しい。ウェブはたんにもう一つのメディアであるだけでなく、新たな環境ないしは世界の成立を強く感じさせるからである。しかもそれを支える素人には見通し難いテクノロジーが急速に進化しているからである。誰も…

生活者としての視点

『横浜逍遥亭』の中山さんが私の拙(つたな)いウェブの進化やグーグルの「怖さ」に関する考察に言及してくださった。 2006/09/15「牧羊犬は頭を垂れる」http://d.hatena.ne.jp/taknakayama/20060915/p1 私は私の考察の足場の心もとなさを反省すると同時に非…

違いが分かる人になれるか

違う物事の中に何か共通な点を探し求めたり、かけ離れた物事の間に密接な関係を発見しようとすることは、たしかに知的な営みのひとつの模範的な態度、科学的な態度かもしれない。しかし他方で、その出発点にある「違い」や「乖離」の認識には、そう認識でき…

はてブとおとなり日記

「はてブ」とは「はてなブックマーク」、いわゆるソーシャル・ブックマークのはてな版のことですが、これに関して、KotoriKoTorikoさんが興味深い指摘をしている。 「はてブが良いなーとか思った所」http://d.hatena.ne.jp/KotoriKoToriko/20060911/p1 私は…

母語(mother tongue)の深さ

「母国語」よりも「母語」という言い方の方が好きだ。「国語」よりも「日本語」の方が好きだ。言語は必ずしも国の言語ではないから。日本語は日本国、国家には束縛されない。「言語」という言い方も好きではない。「言葉」という言い方に留まりたい。「言語…

夢と現実/9.11の唯一の真実

大分前から気になっていた「是枝裕和×茂木健一郎対談」をやっと聞くことができた。予想通り、予想以上に面白かった。 是枝裕和×茂木健一郎対談 http://kenmogi.cocolog-nifty.com/qualia/2006/09/post_d7e9.html 音声ファイル(MPEG3)がダウンロードできます…

絵画と言語

ゲルハルト・リヒターのペインティングにぞくぞくする。GERHARD RICHTER ゲルハルト・リヒター (DVD付)作者: アルミン・ツヴァイテ,清水穣,林道郎,畠山直哉出版社/メーカー: 淡交社発売日: 2005/09/15メディア: ハードカバー購入: 2人 クリック: 21回この商…

荒木経維超ライブ「トークショー」@札幌大学

直下のエントリーの(追記)で触れた写真家荒木経維(のぶよし)さんですが、実は私が勤務する札幌大学で来る9月30日に紀伊國屋書店とタイアップした講演会が開催されます。近郊にお住まいの方で関心おありの方は是非! http://www.sapporo-u.ac.jp/whats-ne…

倫理

期せずして、中山さんと茂木さんが「倫理」について触れている。中山さんは出版社という企業(法人)の経営哲学における「倫理」にふれ、それをオープンソースの動きや個人の活動(ブログ等)の本質へ繋げている。茂木さんは個人の生き方における「倫理的態…

アウラとクオリア

複製技術時代の芸術 (晶文社クラシックス)作者: ヴァルターベンヤミン,佐々木基一出版社/メーカー: 晶文社発売日: 1999/11/05メディア: 単行本購入: 3人 クリック: 63回この商品を含むブログ (80件) を見るおよそ七〇年前に、ベンヤミンは『複製技術時代にお…

21世紀の思想を語るなら

梅田望夫著『ウェブ進化論』には「21世紀の思想」といってもいいヴィジョンが背景として苦渋の色彩で描かれている。なぜ、「苦渋の色彩」なのか?それはGoogleの「凄さ」につきまとう「怖さ」のせいである。Googleの「凄さ」は『ウェブ進化論』の中で立証さ…

昭和63年の謎の預金通帳

妻が「あなた、これ知ってる?」と言って、僕の目の前に差し出したのは、今はなき北海道拓殖銀行の普通預金口座の通帳だった。しかも昭和63年8月に10万円がシンキ(新規)で入金されたという記載しかない。その口座用のキャッシュカードは見あたらない。んん…

あなたに本を愛しているとは言わせない/何がバズか?

Googleのスキャンプロジェクトに関するbookscannerさんの報告がますます面白くなってきた。 「Googleの1500万冊のうち、450万冊はダブり」http://d.hatena.ne.jp/bookscanner/20060906/p1それと連動して、現役のライブラリアン黒澤さんの真摯なご意見等も非…

ブログの文体

『茂木健一郎 クオリア日記』には、話し言葉、つまり「対話性」を生かした文体練習、実験の趣きを強く感じますが、茂木さんご自身、その点に、<小林秀雄、プラトン、金森譲>経由でふれていらっしゃる。面白い。 2006/09/05「時にキラリと宝石のように輝く…

鬱と美

『横浜逍遥亭』の中山さんが、アップル銀座で今宵行われた対談<茂木健一郎×菊地成孔>に行かれたとのこと。 「茂木健一郎さんと菊地成孔さんの対談に行く」http://d.hatena.ne.jp/taknakayama/20060905 非常に羨ましい。中山さんは、茂木サンのしゃべりの凄…

「ひっかかり」と「はてな」

坂本龍一さんがBBC NEWSの記事「Top scientist's fears for climate」における「世界はすでに気候変動の危機的状態に突入した」というJohn Holdren博士の指摘を受けて、次のように書いている。 これがぼくの実感に近い。 地球シミュレータで2050年ごろに…

映画、夢、オープンソース

溝口健二監督『赤線地帯』(1956)を久しぶりに観てびっくりした。初めて凄い映画を観たときのように驚いた。以前、俺は一体何を観たんだろう、と思った。まるで近未来SF映画のテイストじゃないかと思った。その強烈な印象に戸惑った。近い過去、売春防止法(19…

アンディ・ウォーホルがもしウェブ・アプリを作ったら

先日書いたアムステルダムのボブのブログには毎日10個以上の多彩な「Web 2.0の兆候(symptoms)」がリンクアップされ続けている。「EVERYTHING 2.0」http://bobstumpel.blogspot.com/ 8/28にリンクされた15個の内「これはまずいんじゃないか」と思いながらも、…