2008-08-01から1ヶ月間の記事一覧

真駒内川再訪

ビロードモウズイカ(天鵞絨毛蕊花, Great or Common Mullein, Verbascum thapsus L. )私は石と水からなる身体の土地に住んでいる。土地の外部の景観を形成する内部の景観を透視するのが好きだ。軟石で出来た石山と呼ばれる地区が広がり、そしてその名も硬…

シノメトンボは逃げなかった

二階のベランダに布団を干していたら、強風で固定用の大きな布団ばさみがはじけてとんで空き家になっている隣家の庭に落ちた。そのはさみを拾うために、失礼して、庭に入ると、子供の頃はクルマトンボ*1と呼んでいた、ノシメトンボ(熨斗目蜻蛉, Sympetrum i…

矮小な自己満足を支える大きな構造を知る

人種に根ざした支配と差別の構造にふれる興味深いエントリーを続けて読んだ。 「梅崎義人『動物保護運動の虚像』の衝撃」(mmpoloの日記、2008-08-24) 「白人社会」(南米漂流、8・24) 前者は環境・動物保護運動に関わり、後者は貧民救済慈善活動に関わ…

日記性

豆本51 北海道開拓記念館 第151回テーマ展「鶴見良行、東南アジア・北海道を歩く」22頁 「一日中、日記を書いていました」(美崎薫)。「夕食後、日記を整理して、明日の天候回復を祈りつつ、就寝」(鶴見良行)。日記なんて、とるに足らないという気持ちと…

スゲ、ゴボウ

札幌、曇り。肌寒い。風太郎また食欲が落ちる。散歩も近道する。アスファルトの歩道とコンクリートの壁の隙間から雑草が生えているのを見るとホッとする。スゲ(菅, Sedge, Carex)の仲間のようだが、何スゲだろうか。道端に小型のアザミの花が咲いていると…

「すべての思い出がクシャクシャになりますように。」

どんなにそれが感情の直接的な表出に見えようとも、言葉になった瞬間にそれは表現という公共の空間にジャンプしている。そのことにナイーブであることは言葉そのものに対しても、そして公開する/されるということに対しても幼稚であると言わざるを得ないだ…

性差という観念を超えて

ニューヨークからサンフランシスコに活動の拠点を移して頑張っているid:mika_kobayashiさんが性差sexualityをめぐる自らの変さqueerさ加減についてもっともなことを書いていた。mika_kobayashiさんとは微かなジョナス・メカスつながりである。 2008-08-22 th…

島から島へ:ナマコ先生から学ぶ

鶴見良行(1926–1994)というかなり変な人がいた。『バナナと日本人』や『ナマコの眼』など、いかにも目のつけどころが普通ではないことが感じられる変な題名の本の著者としても知られる「歴史ルポルタージュ作家」である。ナマコ? そう、あの海の生物のナ…

笑顔の修行こそが足りない

南無さんが爺へエールを送ってくれた。 「男の顔は50過ぎてから出来てくる」 南無さん、ありがとう。南無さんが語るように、私も気づいたら「老いを逆手にとる」ような生き方を楽しみはじめていた。ここで、体力の衰えと反比例するように、頭の方はいよい…

プラタナス

札幌、曇り。寒いと感じるほど。藻岩中学校裏門横のプラタナス(紅葉葉鈴懸の木, London plane/Sycamore, Platanus acerifolia)。昨秋に強く剪定されて寒々しい姿を晒し続けていた。二ヶ月前にはまだ丸坊主に近い印象だったが、少しずつ少しずつ枝を伸ばし…

ビバ! 松宮

「松宮、無念の予選落ち 男子5000」(「河北新報ニュース」2008年08月21日木曜日) 花咲か爺的に、北京オリンピックのテレビ中継のなかである種の感動を覚えたのは、男子5000M予選で左足スパイクシューズが脱げたまま健気に完走した松宮隆行選手の晴れや…

誕生日の贈り物

友人夫妻を案内して久しぶりに大型書店に行った。そこで二日遅れの「誕生日の贈り物」として直観的に7冊の本を選んで買った。内訳はその書店に在庫のあった鶴見良行の本全4冊、『バナナと日本人』(asin:4004201993)、『東南アジアを知る』(asin:4004304…

アメリカフヨウ、麦わら帽子

札幌、曇り。寒い、と感じた朝だった。強風でビニール袋が宙に舞っていた。地上に落下するまでの数十秒間、その華麗な動きに目を奪われた。もともとダチュラ(ヨウシュチョウセンアサガオ)が生えていた場所にアメリカフヨウ(亜米利加芙蓉, Common rose mal…

原生林にて

管理人さんの許可を得て、原生林の中にちょっとだけお邪魔して、植物などの写真を撮った。丈2メートルを超えるオオウバユリ(大姥百合, Giant lily, Cardiocrinum cordatum var.glehnii.)。ケヤキの大木の下に佇んでいたら、数羽の小鳥たちがどこからとも…

未亡人の涙、ノラニンジン

札幌、晴れ。暑さが少し戻る。 空き地にはツユクサ(露草, Dayflower/Widow's tears, Commelina communis)の花が点々と目立ちはじめた。「儚さ」を象徴する「秋」の花だ。英語の別名に見られる連想力が洒落てる。「未亡人の涙」か。和名に関しては、古くは…

写真と微分法

毎日、二階の東向きのベランダから空の様子を撮っている。雲の色と形は目まぐるしく変化する。私の心の色と形も目まぐるしく変化する。とりとめない。でも、そのとりとめなさがイイのだと最近強く思うようになった。先日朝日新聞のあるコラムで分子生物学者…

島嶼世界論

「島嶼」と書いて「とうしょ」と読む。大きな島や小さな島、つまり島々という意味である。今福龍太流に「群島」とも言い換えられるだろう。英語では 'archipelago(アーキペラゴ)'。 asin:4622036533 日本(人)批判の思想的視座として「東南アジア島嶼文化…

田中光花園の遠大なヴィジョン

毎年、この時期になると、町内にある昭和5年創業の花園を訪れる。「はなぞの」と読みたくなるが「かえん」である。初代田中光さんが創業し、現在は二代目の田中さん夫妻が経営する農園の一部である。野菜畑に花畑、そして大きなビニールハウスが二棟建ち並…

トゲチシャ、セッコウボク

札幌、晴れ。微風。朝のうちかなり涼しかった。道端で目立つようになった小さな淡い黄色の花をたくさんつけたトゲチシャ(刺萵苣, prickly lettuce, Lactuca scariola L.)。キク科のアキノノゲシ属。 セッコウボク(雪晃木, snow berry, Symphoricarpos alb…

感情教育

This image is in the public domain.*1 一時的な感情に振り回されるのが人間の性(さが)だとすれば、そんな人間にある意味で終止符を打ったがフーコー(Michel Foucault, 1926–1984)だったのかもしれないとふと思った。「もっともっと思考せよ!」と。ち…

第三の阿呆の行方

世の中には変な人たちがいるもので、嬉しくなりました。何の話かというと、「扇ぐ阿呆の会」(http://www.aoguaho.awaodori.jp/index.htm)というのがあるんです。その賛助会員である三村隆範さん(ドクターエンドー社主)はこんないいことを書いています(h…

うんこは誰のものか

ブラジルのサンパウロ在住の写真家・楮佐古晶章(かじさこあきのり)さんが、うんこの話を書いている。面白かった。 「8・18 流れないうんこ」(『南米漂流』) 自宅トイレの排水の具合が悪く、自分のしたうんこが流れてくれないらしい。北大農学部時代に…

Manhattaner's from N.Y?

ことり公園のドロノキ(泥の木, Populus maximowiczii A.Henry)朝の散歩で歩く範囲はごく限られている。せいぜい1キロ四方に過ぎない。自分が住む町のすべての道を歩くことがかねてからの目標である。そしてすべてを見ること。見えないものまで見ること。…

空七景

雲が好きだ。その千変万化する形と微妙に移り行く色に魅せられる。 大気中の水蒸気の運動がこんなイメージとして像を結ぶプロセスにもまたとんでもない進化の記憶が内蔵されているのだろうと思う。終りなく循環しつつ、下手に形を残さない運動の全体像、その…

野ざらしのスケボー

札幌、小雨のち曇り。無風。涼しい。濡れたアスファルトの表情や水たまりに映る空、雲、電柱、電線などを見ながら歩く。アスファルトは濡れると足裏に柔らかく感じられる。 昨日記録し忘れたチャコちゃん(13歳、雌)。風太郎とほぼ同級生。 空き地の隅っこ…

すべて本気でどこが悪い

矛盾したことを書くようですが、たとえ離婚の憂き目にあったとしても、私はブログを止めないでしょう。だって、ブログに恋してるんですから。好きという気持ちを誤摩化すのはよくない。浮気なんて言葉におびえるのもイケてない。すべては本気でしょ。何かを…

宿敵現る

札幌、曇り。やや蒸し暑い。もうすぐ夏休みの終わる小学生二人とすれ違う。私ではなく、風太郎を見てニコりとする。ちょっと悔しい。カタバミやフウロソウと並んで道端で目につくムシトリナデシコ(虫取撫子, Sweet William Catchfly, Silene armeria)。町…

挽歌

何も隠されていないし、語り得ないことなど大したことはない。すべてはあっけらかんと見えている。ちゃんと見ようとする眼にはね。騙されないこと。もったいぶった物言いや、意味ありげな物言いには。無視すればいい。そんなものは。一般論は危険だよ。もっ…

「めくるめく子供時代の夏」の私

もう二年くらいになるだろうか。ブログ経験でも人生経験でも大先輩の敬愛する南無さんのところで、じゃこしか爺さんの存在をはじめて知って驚いたのは。私の亡父と同世代で、しかも同じように樺太から引き揚げてこられた方だった。じゃこしか爺さんの「思い…

八剣山果樹園でみかけた動植物

「森の木工教室」で子供たちが作った昆虫たち キツリフネ(黄釣船, Yellow Balsam, Impatiens noli-tangere) ノブドウ(野葡萄, Porcelain Berry, Ampelopsis brevipedunculata var. heterophylla) シオカラトンボ(塩辛蜻蛉, Common skimmer, Orthetrum a…