2009-11-01から1ヶ月間の記事一覧

誤配愉快

[ かねがね書くことの根は日記と手紙にあると思ってきた。そしてこのような公開を前提とした日記や手紙のようなエントリーを連ねるブログの場合、狙った相手には必ずしも届かずに、思わぬ人に届いたりするところがまたとても面白いと感じてきた。先日、手紙…

車の中から

用事があって、散歩ができなかった。雪が少し降った。近所の畑だけが白かった。他は解けて消えていた。車は水滴に覆われていた。車で出勤途中、窓を開けてハナに声をかけるが、外からは車中の私が認知できないようだった。 「ハナ!」「?」「ハナ!」「?」

命がけ、唄を探す

asin:4894346575 『森崎和江コレクション 精神史の旅』(全五感)の『1産土』の解説を姜信子さんが書いている。「果てしなく血を流し生まれ変わり産み直し書きつづける、旅」と題した凄まじい文章だった。題名通りの「旅」の人としての先輩にあたる森崎和江…

冬囲いのデザイン

支柱から枝を吊り上げるタイプの冬囲いの頭はデザイン魂が発揮される部分である。 全体を竹で囲うタイプは珍しい。 筵(むしろ)で覆うナチュラル・タイプは非常に珍しい。今や、ブルーやグリーンや稀にレッドのプラスティック製のネットが主流である。

Raindrops

スゲ(菅, Sedge, Carex) コムラサキ(小紫, Purple beautyberry, Callicarpa dichotoma) ベニシタン(紅紫檀, Cotoneaster horizontalis) ニシキギ(錦木, Winged spindle or Burning bush, Euonymus alatus) クジャクソウ(孔雀草, Aster hybridus) …

アンペラ、土佐節、なぎなたほおずき

asin:4101061017 ひょんなことから初めて読んだ、林芙美子『放浪記』の中で、鳩の豆を売るお婆さん、土佐節を唄う人夫、なぎなたほおずきを器用に鳴らす少女が登場する場面が非常に印象的だった。「私」はそこで触れる「世界」に結局は止まることはなかった…

女と男

お糸さんとお国さんの一緒の寝床に高下駄のような感じの箱枕がちゃんと二ツならんで、お糸さんの赤い長襦袢が、蒲団の上に投げ出されてあった。私はまるで男のような気持ちで、その赤い長襦袢をいつまでも見ていた。しまい湯をつかっている二人の若い女は笑…

雪を迎える準備

二日続きの雨は止んだ。雨、雪、雨、雪、雨ときて、次は雪だろう。そして、雪、雪、雪と続くだろう。寒くなると散歩に出るのが億劫になってくる。それでも、えいやー、と出ると、気分はよく、思わぬ出会いが必ずといっていいほどあるから面白い。散見された…

舌の時間、光りしずまる

昨日、カミさんの実家で地方紙「室蘭民報」日曜版(2009年11月15日)に目を通していて、あるコラムが目にとまった。一瞬、目を疑った。辺見庸の「コケを見にいく/光りしずまるもの」と題したエッセイが載っていた。その後半にこんな風に発音表記された言葉…

お婆さん

asin:4620605859 岡本太郎によっておよそ半世紀前に記録された「東北」、特にイタコとオシラ神の写真と文章に触れて思うところがあった(東北の自然と文化の底流をなし、現代の絵馬にまでつながる「あの暗いとさえいえる、生命力の炎の塊りのような動物」(5…

室蘭、イタンキ浜

向こうからカラスが一羽歩いて来る テトラポットが砂に埋もれかけている 遠くにカモメの小さな群 流木に腰掛け、しばらく沖の方をながめる 沖をタンカーが行く 無人の浜辺。潮騒と海鳴りだけが聞こえる。コンクリートの突堤の上で沖にレンズを向けていた私の…

雨の藻岩山

色から形へ

曇り空、無風、寒し。雪になりそう。昨日、「めんこいねえのおばあさん」こと帆足夫人には、花も終わって、撮るものもないでしょうに、と言われた。たしかに、自然の鮮やかな「色」がどんどん少なくなっていき、ちょっと寂しくはなる。しかし、萎れていく花…

洪水の世の旅人

asin:B000LV6MLO 姜信子さんが『ナミイ! 八重山のおばあの歌物語』(asin:4000241559)で世に知らしめた「ナミイおばあ」こと新城浪さんの歌い,踊る人生の凄さを、姜信子さんが企画し、あの本橋成一さんが監督したドキュメンタリー映画『ナミイと唄えば』…

おばあさんは柳鰈がお好き

晴れ。下界の雪はほとんど解けて消えたが、寒い。藻岩山から吹き下ろす風が冷たい。藻岩山の頂上付近だけはまだ薄らと白い。薄い革手袋では、両手がかじかむ。今日は年内最後の枯れ葉や枯れ枝のゴミの日だ。(枯れ葉や枯れ枝が「ゴミ」とはいかがなものか、…

行けるところまで行け、ここが正念場だ

2年生の佐々木君は、来るなり、複数の証券会社をリストアップしたA4判の紙2枚を私に見せてくれながら、リストアップした条件、リストアップした会社の特徴、そしてできるならここで働きたいという会社について語り、今から身につけておくべき事は何かにつ…

停車中

校庭のハルニレ(春楡, Japanese Elm, Ulmus davidiana var. japonica) スポーツジム ブックオフ

宮本常一・アンソロジー

私は、写真家ではない民俗学者の宮本常一の写真に衝撃を受けて、自分の撮る写真の記録性と表現性のできるだけ深い次元での統合を模索してきたのだが、文章と写真による記録と表現に関して、自分の経験をもう一歩前へ進めるために、この辺で、初心にかえるつ…

オリオン座と本

雪景色

スズメ(雀, Tree Sparrow, Passer montanus)十羽 ホオズキ(酸漿/鬼灯, Chinese lantern plant, Physalis alkekengi) 原生林入口 コムラサキ(小紫, Purple beautyberry, Callicarpa dichotoma)

雪景色2

バラ(薔薇, Rose, Rosa) 藻岩山

マリオ・ジャコメッリの「遺言」

Presa di coscienza sulla natura (Awareness of Nature) 2000 Scanno, 1959 本書(The Black is Waiting for the White)にはマリオ・ジャコメッリの息子シモーヌ・ジャコメッリによる「マリオ・ジャコメッリ:1925年生まれの男子と1968年生まれの息子の思…

サンパウロの大停電の夜に

「サンパウロで大停電」の新聞記事を読んで、サンパウロ在住の写真家・楮佐古(かじさこ)さんのことを思った。案の定、彼の日記に停電時の「恐怖」の顛末が書かれていた。携帯電話の明かりを頼りに、「とりあえず」離れて暮らしている息子さんたちのアパー…

ヤドリギ

ヤドリギ(宿木, Mistletoe, Viscum album)。宿主のオオバボタイジュ(大葉菩提樹, Tilia maximowicziana Shirasawa)の葉が落ち、目立つようになった。サフラン公園。 冬囲い ニシキギの仲間か。未詳。

姜信子さんへ

asin:4000221728 asin:4000241559 asin:400430542X そのとき、私の心の中の固く渇いた石のうえに、ひらり、小さな蝶が舞い降りた。そして、羽を大きく開いた。ふわりと飛び立ちました。私を連れて、ふわりと。 どこへ? さあ、わかりません。でも、どこにい…

雨の夜道

水たまりに月、ならぬ、水たまりに街灯。水たまりの箇所は、アスファルトがかすかに窪んでいる。頭では平らだと思い込んでいる道は実際には結構波打ったり、凹凸がいっぱいあったりする。歩いているうちに、そんな変化がよく感じられるようになる。足は、体…

大姥百合

オオウバユリ(大姥百合, Giant lily, Cardiocrinum cordatum var.glehnii.) エゾイタヤ(蝦夷板屋, Acer mono Maxim. var.) マーガレット(木春菊, Marguerite, Argyranthemum frutescens) イワシャジン(岩沙参, Adenophora takedae) コスモス(秋桜, …

ノレ・ノスタルギーヤ

asin:4000018140 物語、物語って言うけど、分かったようで分かんない。でも、姜信子さんの物語を読んで、その中に登場する男たちや女たちの物語を読んで、ストンと胸の底に落ちるものを感じた。物語はすべて「はじまりの物語」なんだ。それがたとえかつて色…

旧道のパン屋

散歩コースからは外れるけれど、近所の旧道沿いにパン屋ができた。開店してもうひと月以上経つらしい。昨日初めて立ち寄った。毎日車でその前を通っていたのに気づかなかった。Boulangerie Malesherbes、ブーランジュリー・マルゼルブ。なぜか、マルゼルブ通…

大根干し

向平さん、塚本さん、大内さん、小坂さんに写真を届ける。これからウォーキングに出かけるという米田さんに会う。今年干した大根は20本。ニシン漬けにするという。去年までは70本漬けていたが、手間が掛かりすぎるし、食べ切れないので大幅に本数を減らした…