情報デザイン論

情報デザイン論2007 第9回 人生の地図

前回は、皆さんの現状に少し立ち入る形で、私たちが否応なく置かれている時代状況の一環に触れつつ、自前の知的生産環境の構築法についてお話しました。すなわち、私たちはインプットの面でも、アウトプットの面でも、未曾有の道具かつ環境を、その気になれ…

地図作製課題について

課題2こんな地図があったら、面白い、役に立つ、多くの人に喜ばれる、というオリジナルの地図の企画と実例。 に関して、 「札幌大学近辺の面白いこと教えてマップ」や『知られざる佳曲』で紹介されている「クラシック東京楽譜CDマップ」のような、グーグル…

四国八十八箇所巡拝略図ほか

今回紹介した各種地図に関して、ウェブ上で見られるものは残念ながら以下に限られています。一応見ておいてくださいね。 四国八十八箇所巡拝略図(四 国 遍 路 図 考 A study of maps for pilgrims in the Shikoku district) 参考:遍路(Wikipedia) 行基…

ビジネスもまた情報デザインである

多くの人が何かに向かって動き始めるとき、そこでは当然多くのお金も動き始める。動こうとしている。ビジネスのチャンスとはそのタイミングを見逃さないことである。そんなメッセージをsimple Aは非常に分かりやすい具体例を挙げて発信している。時間軸にお…

究極のデスクトップ・メタファーは如何に

前回少しだけ触れた美崎薫さんが研究開発している究極の「デスクトップ」の公開をご覧になった『横浜逍遥亭』の中山さんが、早速要を得た報告をなさっています。是非参考にしてください。 美崎薫さんの「PilePaperFile」を見てきた(2007/11/20) 「紙」の質…

情報デザイン論2007 第8回 学習と教育のデザイン:自分で自分を教育するために

前回は「表現法」という観点からほぼ以下のような内容のお話をしました。 私たちは世界を相手に情報を収集し、個人として世界に向かって情報を発信してゆくほぼフリーに近い手段と環境を手に入れた。ただし、一口に情報の収集と発信といっても、「機械的」に…

不自由を自覚する自由

私たちは色んなことを自由に選択しているように見えて、じつは予めお膳立てされた選択肢の中から選択させられているに過ぎない、その意味で実は不自由なのだということを考えたことがあるでしょうか。本当の自由は選択しないことも含めた選択すること自体を…

情報デザイン論2007 第7回 表現とは人生という情報のデザインである

昨年の今頃も、インターネットという未曾有の情報環境かつ道具を前にしての知的心構えや知的生産の方法について「記憶を支援する記録」という観点から色々と語っていました。 2006-11-13「情報の大海を泳ぐ技術:検索をめぐって」 2006-11-14「イメージから…

たかが検索、されど検索

Googleの検索エンジンを過大評価する者もいれば、過小評価する者もいる。私は基本的に普及した技術は過大評価するくらいでちょうどいいと思っている。ただし、それは鵜呑みにする、言いなりになるということとは違う。実際の利用にさいしては、むしろ全く逆…

情報デザイン論2007 第6回 インターネットは未曾有の情報デザインの現場である

これまで私たちは、人生の舞台としての世界の見立て方、一定の世界観を組み込んだ物語りの構造、そしてもっとも根本的な世界観としての述語的世界観、さらに世界ともども自分を成長させつづける編集的世界観について見てきました。そこで肝に銘じておくべき…

情報デザイン論2007 第5回 方法論2:編集的世界観(知識と物語)

私たちは日々刻々と何らかの物語を生きながら、そのなかで色んな知識を活用しています。知識は何らかの物語の中で相応しい場所を得て生きるんですね。ところが、なかなかそうはいかない場合もある。頭が消化不良を起こしたり、パニックに陥ったりするのは、…

情報デザイン論2007 資料:本の分類と検索

分類法 デューイ十進分類法 国際十進分類法(UDC:Universal Decimal Classification) Library of Congress Classification(アメリカ議会図書館分類法) 国立国会図書館分類表(NDLC:National Diet Library Classification) 日本十進分類法(NDC:Nippon…

情報デザイン論2007 第4回 方法論1:述語的世界観

私たちに生来備わっているらしい「物語的感受性」の有り様を概観した後は、その自覚をこれからの人生において役立つような「方法」にまで高める、深めるにはどうしたらいいかという話になります。いわゆる情報デザインの成果はそのような方法の様々な応用、…

情報デザイン論2007 資料:地図・ダイアグラム

定義 地図(Wikipedia) ダイアグラム(Wikipedia) 地理・空間 Google Map Google Earth(地球) Google Moon(月) Google Mars(火星) 人体 統合TV(togotv) オンライン人体地図サービス「アナトモグラフ」を使い倒す(2007-10-18) アナトモグラフ(Anato…

情報デザイン論2007 資料:地下鉄路線図に見る情報デザイン

世界の地下鉄路線図総覧 Subway Maps 世界の地下鉄の路線地図 世界主要都市の地下鉄路線図 ロンドン地下鉄(London Underground) ロンドンの3D地下鉄路線図(Iconic London 3D Tube Map) メルボルン鉄道路線図(Melbourne rail map) ニューヨーク地下鉄(…

情報デザイン論2007 第3回 物語とは何か

前回は歌舞伎の「世界定め」などを題材にして私たちの人生がそこで展開する世界をどう見立てるかという世界観、世界モデルのお話をしました。多種多様な「事」がそこで展開する舞台、枠組としての世界。しかし「世界」は抽象的な概念として存在するわけでは…

情報デザイン論2007 第2回 世界と物語

私の経験と考えでは、良いデザインとは、しみじみとしたり、ワクワクしたり、ドキドキしたりといった感動をもたらす広義の「造形」です。そのような感動の本質は、過去のポジティブな体験の記憶が数多く想起され、しかもそれらが初めてのやり方で劇的に結び…

情報デザイン論2007 第1回 はじめに

(鳥取県三朝町、三徳山三仏寺奥の院投入堂*1。) (札幌市南区石山六区、石山開拓神社。撮影:三上勝生) 2007年度秋学期「情報デザイン論」の受講生のみなさん、こんばんは。明日から講義が始まります。講義の内容に関して予め知りたい人は形式張ったシラ…

家族的時間

「時間」というタグの検索でひっかかった家族的時間を記録する試み。FamilyLog? Diego Goldberg :: The Arrow of Time http://zonezero.com/magazine/essays/diegotime/time.html#top Los 3 http://fotos.fliarubinstein.com.ar/ Time http://rajnair.com/ti…

総まとめ

板書の大半を都合で消してしまったので、手書きメモを載せる。講義ではこのメモは見ずに、板書しながらしゃべりつづけるのだが、学生たちの反応を見ながら話していると、事前には思いつかなかった「つながり」をいろいろと発見することが多い。それらは後か…

ライフログの歴史とWeb 2.0, Web 3.0, Web 4.x

今日の講義で、美崎薫氏の報告を紹介しながら軽く触れた「ライフログ」に関して詳しく知りたい人は、以下のHOTWIRED JAPANの記事を参考にしてください。講義の本筋からは外れますが、ライフログの考えは想像以上に根深く裾野が広いことが分かって大変興味深…

日本をデザインし直す

時間のデザインの根源は人生という時間の捉え方にあり、それが空間のデザインをも根源的に左右するのだった。すなわち、空間を抽象的な器としてではなく、私たちが生きる具体的な場所としてとらえなくてはならない。つまり「生きられる場所」。それは、見方…

アメリカに渡る理由:特別ゲスト増井雄一郎さん

今日は別件で来訪することになっていた増井雄一郎さんをそそのかして、急遽、講義の特別ゲストとして登場してもらい、ゲリラ的に特別講義を行った。彼は喜んでその企画に加担してくれた。ウェブ進化と個人の進化をめぐる対話形式の講義。楽しかった。なによ…

ウェブ進化のイメージをつかむ

明日の講義では、インターネットという未曾有の情報アーキテクチャーの最新の動向を踏まえながら、「ウェブ進化」ともいわれる動向のなかで、ある種の革命(「情報技術革命」ではなく、「情報革命」)が起こっていることを常識として知ってもらう予定です。…

ウェブ進化と個人の進化

受講生のみなさん、こんばんは。 明日の講義の裏のテーマについて書いておきますね。それは、そもそもなぜパソコンを使うのか、パソコンを使うとは一体何をすることなのか、そしてそもそもなぜインターネットを利用するのか、そうすることは何をすることなの…

生きることは探すこと

生きるって何することかな?と学生たちに問いかけた。いろいろと言い方を変えて挑発した。ある学生が「考えること」と答えてくれた。素晴らしい。その答えの素晴らしさを解説した。他には?すると別の学生が「行動すること」という見事な答えを返してくれた…

探し物は何ですか?

私たちはいつも何かを探しながら生きている。 でも、探し物が分かっている場合と分からない場合とがある。 分かっている場合にも、名前が分かっている場合と、その姿形の記憶や写真に映ったそのす姿しか手がかりがない場合などがある。分からない場合には、…

スマートになろう:SmartCalendarのススメ

賢く生きるための画期的なツールとして美崎薫さんが開発したSmartCalendarについてはこのブログでも教室でも今まで断続的に触れてきた。賢さの内容は、己をよりよく知り、同じ過ちをくりかえさず、世界をより深く見通し、未来さえもかなりな程度見通せるよう…

イメージから意味へ

この1週間に寄せられた多くのコメントにブログ上では応答しきれていないのだが、それらが講義の中で活かされている。ブログと教室とがいよいよシームレスに繋がりつつあることを実感している。11/8のコメント欄でbookscannerさんは、画像(イメージ)検索を…

情報の大海を泳ぐ技術:検索をめぐって

前回復習したように、情報デザインの基本的な定義は見えない情報に見える形を与えることです。で、その形の与えかたについて「情報アーキテクチャー」の考え方もおさらいしました。ユーザビリティやインターフェースに関しては優れた実例に数多く触れ、使い…