言語

聴くことのできない音楽

喉の炎症が鼻にも広がって、酷い濁声に鼻声が重なった日、OTT(あっと)さんのエントリーを読んで、ゴリラの鼻歌が聴いてみたいと思った。 ゴリラの鼻歌(「Os Dias Desafinados 調子外れな日々」2008/05/29)

本物のサスペンスはサスペンスという印象を残さない

asin:4061589474 小松先生はスランプに陥ると、きまって推理小説を読む人である。 小松先生からは「国語」から解き放たれた普遍的な地平で「日本語文法」を教わっている。 「つい百年前の自国の文字を読めない不自由の異常さ」(2008年04月12日) 「『いろは…

客観性とか冗談

私が「日本語発声の師匠」と勝手に呼んでいる「ボサノヴァ日本語化計画」のOTT(あっと)さんが、久しぶりに新訳の音源をアップした。 lobo bobo(2008/05/16) いつもながら、J-POPをちくりと皮肉るのを忘れないところがいい。曰く、 前からやろうと思って…

古いものとの対話

10年前に買った『デザインの現場』(1997年6月号)を読んでいた。特集は「文字とレイアウト」。附箋が貼ってあった頁を捲ると、なんと先日メッセージをいただいた朗文堂の片塩二郎氏の記事だった。すっかり忘れていた。 冒頭の節「印刷の歴史はタイポグラフ…

リトアニア語とカント

リトアニア語はインド・ヨーロッパ語族のなかでラテン語に比べられる古さを持ち、サンスクリット語との類縁性が指摘されるなど、比較言語学のうえで重要な言語とされているが、ジョナス・メカス『どこにもないところからの手紙』(asin:4879956546)の「第十…

ことばのからだ:村松真理「ピクニック」の文体

縁あって、『文學界』九月号に掲載された村松真理「ピクニック」を読んだ。ことばにもからだがある。スタイル、スティルではない、「文体」。私が書くような意味と論理に引っ張られた文章にはまっとうな体がない。それは自覚している。文章の背後に生身の人…

eeniwa, itanki

14日夕刻、支笏湖畔から撮った尖った頂に特徴のある恵庭岳(Eniwa-dake, Mt. Eniwa)。 知里真志保著『地名アイヌ語小辞典』によれば、恵庭岳のアイヌ語原名は「e-en-iwa(エえニワ)」である(23頁)。eは頭、enは尖っている、iwaは山をそれぞれ意味し、een…

行分けの秘密Ryoko SEKIGUCHI

昨年十月から五ヶ月以上ずっと読み続けている本がある。関口涼子・吉増剛造『機------ともに震える言葉』(書肆山田)である。読み続けている、と言っても、私の場合はいつも傍に置き、ふと気が向いたときに開いたり、外出するときには鞄に入れて持ち歩き、…

翻訳的体験

2月25日のコメント欄でのkillhiguchi(id:killhiguchi)さんとの言語と翻訳をめぐる意見交換において、私はkillhiguchiさんの真摯なコメントに心打たれると同時に大きな刺激を受け、思いも寄らぬ一種の連想や想起が働き出して、自分でも驚くようなことを二つ書…

Visuwordsで遊ぶ

Visuwordsを試してみた。 Visuwords: online graphical dictionary http://www.visuwords.com/ これはカナダはアルバータ州のカルガリ在住らしいPaul R. Dunnさんがプリンストン大学(Princeton University)の有名なオープンソースのデータベースであるワード…

"the alga rocky mountain"?

日本語を全く解さないアメリカの知り合いが、このブログをGoogleの自動翻訳にかけて読んでいることを知った。そうか、そうだよな、と思った私は前エントリーをそれにかけてみた。その結果はこう。かなりひどいが、分からなくはない。固有名の「藻岩山」が"th…

牡丹雪はlarge flakes of snowではない

キャンパスの雪夕景。菩提樹並木がきれいに雪化粧していた。湿り気を帯びてちょっと重たい雪が15センチくらい積もっていた。日中降り続いていたことに全く気づかなかった。気温は1℃くらい。寒くはない。 帰宅途中、蝋燭の火が灯った姿を見るのを楽しみにし…

ラハイナがリンクした

11月15日のコメント欄で、同じ場所で違う時期に撮った写真を見ることが世界(の見方)を変えるという文脈でちょとだけ話題になった本がある。 片岡義男著『ラハイナまで来た理由』(同文書院) ISBN:4810376915「ラハイナ」という耳慣れない地名はハワイのマウ…

母語(mother tongue)の深さ

「母国語」よりも「母語」という言い方の方が好きだ。「国語」よりも「日本語」の方が好きだ。言語は必ずしも国の言語ではないから。日本語は日本国、国家には束縛されない。「言語」という言い方も好きではない。「言葉」という言い方に留まりたい。「言語…

絵画と言語

ゲルハルト・リヒターのペインティングにぞくぞくする。GERHARD RICHTER ゲルハルト・リヒター (DVD付)作者: アルミン・ツヴァイテ,清水穣,林道郎,畠山直哉出版社/メーカー: 淡交社発売日: 2005/09/15メディア: ハードカバー購入: 2人 クリック: 21回この商…