専門演習

参加者の皆さん、今晩は。

アンディ・ウォーホル関連で回し観してもらった『バスキア』はどうでしたか?映画としては色々難癖つける人がいるでしょうが、バスキアの中で止むに止まれぬ表出衝動が独特のグラフィックな表現活動に自然と繋がっていること、そしてそれだけを殊更「アート」として特別視してしまわずに、人生の中を流れる幾つもの時の流れすべてがある意味では「アート」であり、絵を描くこともそれらのうちの一つの行為に過ぎないこと、バスキアという男の人生全体が「アート」であったことは、よく描かれていたと思います。

さて、ここまでジョナス・メカスの「映画」、荒木経維の「写真」と辿ってきましたが、明日の前半は映画と写真の関係を考えるために、96年にパリで開催されたジョナス・メカスの写真展「静止した映画 Films immobiles」に関する非常に興味深い資料を参照する予定です。「静止した映画」とは、実際には映画フィルムの複数のコマを焼き付けた写真、文字通り「映画と写真の間」そのものである不思議な作品であり存在です。

後半は、映画を橋渡しにして文学的(小説的)想像力の根源に触れるテーマに移行するために、『路地へ、中上健次の残したフィルム』を観る予定です。中上健次という作家を知らなかった人はメインサイトに「中上健次公式サイト」をリンクしておきましたから、参考にしてください。今後、映画『火祭り』、『日輪の翼』なども観てもらう予定ですが、小説に関してはほとんどが文庫化されていますから各自ブック・ハンティングしてください。小説が世界と人間を考えるための優れた方法でもあることを学びます。