「会社」と"company"

「会社」は英語で"company"ですが、滞米中よく耳にしたのが、"Thank you for your company."(「つき合ってくれてありがとう」)のような言い回しにおける「付き合い(交際、同伴)」に相当する"company"の使われ方でした。日本語では「会社」と「付き合い」は語彙ネットワークの中ではかなりかけ離れた位置にあるが、英語では同じ"company"で会社も付き合いも表現する、と一応は説明できますが、"company"という一語がもつヴィジョンは実はそういう「日本語の説明」すら、隔靴掻痒の感が否めないほど繋がっているのだと想像します。例えば、日本人が、よい「付き合い」の自然な延長でよい「会社」を創り、よい成果を上げるにはどうしたらいいか、と発想することは非常に難しい。それに対して、英語には、"good company"というイメージの中にそのような発想の基盤がちゃんとある。このような言語の違いによる発想の違いを教養的な知識として知るだけでなく、日本語的発想の様々な限界を突破するために、英語的発想の利点を日本語的発想に植え付ける、接ぎ木するような「マルチリンガルな思考」が必要だと思います。もちろん、逆の場合もあるでしょうし、英語以外の言語との関係でも同じことが言えると思います。