私たちはみな潜在的な開発者であるということ

梅田さんのGoogle Book Searchについてのコラムを読んで、とくにネット上では「遊び心」が大切だ、と強く感じました。
2006-08-04Google Book Searchで遊んでみた」http://d.hatena.ne.jp/umedamochio/20060804
リアル世界の「消費者の声」に相当する膨大な数の感想や意見が想像をはるかに超えた速さで駆け巡り、開発者にも届くネット上では、生産者/消費者、開発者/利用者という旧来の分割はある意味で成り立たなくなっている、そしてそこに技術者でなくとも「参加できる」オープンソース的な環境が成立しつつあるように感じます。完成した製品を受け身に利用、消費するのが当たり前のリアル世界的、そしてWeb 1.0的発想から抜け出して、私たちは知らないうちに実はGoogle Book SearchやHackabuckなどの「開発」に参加していることを知り、だとすれば、もっと積極的に参加する方法を考えるという方向に意識を向けることが大切だと思います。そのためには、次々と登場するウェブサービスのシステム、ウェブ・アプリケーションをその未熟さも含めて楽しみながら、気がついたことを提言できる環境を私たちは手に入れたのだということを知ることが必要だと思います。ウェブの進化によって私たちは旧来の受け身の消費者意識とセンスから脱却できるかどうかが問われているのかもしれません。とにかく遊んでみることが必要ではないでしょうか。梅田さんの報告にはそのような「遊び心」が溢れていて、非常に好ましく感じます。梅田さんのいう「総表現社会」が「総開発者社会」といえる状態に移行した時に大きな変化が顕在化するような気がします。
ちなみに、私もGoogle Book Searchで遊んでみました。梅田さんが指摘するように、まだ多くのバグがあるようですし、「Full View」できるものは非常に限られていますが、だからといって、「使いものにならない」と見切るのは古い消費者意識のなせるわざであって、むしろ現段階で「どう使えるか」という関心で遊んでみることが新しいセンスの発揮の仕方だと思い、いろいろ試してみた結果、Alexander von Humboldtの「The Island of Cuba」(1856年、397頁)を発見しました。John S. Thrasherによるスペイン語からの英訳本です。「フル・ヴュー」できます。手書きの書き込みを楽しむこともできました。

http://books.google.com/books?vid=OCLC00264238&id=MGF52Jl68QYC&pg=PP14&lpg=PP14&dq=island&as_brr=1