幸福の断片

梅田さんのブログにアップされている「ジャックとしなもん」の微笑ましいビデオを見ました。
「ジャックとしなもんhttp://d.hatena.ne.jp/umedamochio/20060918/p1

飼われている犬の様子や表情を見れば、飼い主の人柄がだいたい分かるものです。ジャックとしなもんの様子から、梅田夫妻と近藤夫妻の好ましい人柄は一目瞭然だと思いました。二匹とも自分たちが生きている世界を信頼し、深く安心している、リラックスしている様子が如実に窺えます。カメラの方に時々一瞬視線を向ける彼らの眼にはカメラを構える人(梅田さん?近藤さん?)への信頼感が窺えます。そういう信頼に満ちた世界を作ってあげられるのは飼い主の深い愛情と大人としての責任感です。ジャックとしなもんが幸せそうなのは、飼い主が幸せとは何かをよく弁えていて、皆が幸せになるにはどうしたらいいかをいつも考え、そのための工夫と努力の積み重ねを怠らない証拠だと思います。
同じようなことが、人間の子供たちと親たちについても言えそうですが、実際にはなかなか難しい。

ところで、ジョナス・メカスが「幸福の断片」と称した映像のこと、世界の負の側面を告発するような映像ではなく、世界の正の側面、幸福の断片だけを記録することに生涯を捧げてきたメカスのことを思い出していました。「ジャックとしなもん」のフレームの枠内にはジャックとしなもんしか映ってはいないけれど、ぶれ続けるフレームの「外側から」梅田夫妻と近藤夫妻の笑顔とシリコンバレー生活の「幸福の断片」が映り込んでいる、「見える」ような気がしました。
「カワイイー!」と一言書けば済むかもしれないことですが、しかし、例えば、「お宝映像」なんかではなくて、このようなオリジナルでパーソナルでドキュメンタリーな「幸福の断片」映像が膨大に集まれば、そこから、大きなビジョンやサービスにつながるアイデアがいろいろと出てくるかもしれない、と思ったりしたわけです。世界中の家庭に眠っているそんな種類の映像を集めることができれば面白いとも思います。というのも、「幸福」こそが人間にとって究極の、しかし脆くもある、美しい欲望の対象だと思うからです。

それにしても、幸福という感情の芽をしっかりつかまえて、それを育てることは、人間にとって一番難しいことなのかもしれません。