HASHIGRAPHY―Future D〓j〓 Vu《未来の原風景》
- 作者: 橋村奉臣
- 出版社/メーカー: アートン
- 発売日: 2006/09/01
- メディア: 大型本
- この商品を含むブログ (4件) を見る
薄暗い四つの部屋を何度も繰り返し出入りしているうちに、なんとなく、これは「時間を封印した標本箱」だと気づき始めていた。しかし、どんな「時間」がそれぞれの箱、空間に封じ込められているのかは不明のままだった。死んでも語れない真実の時間が、「語れない」というメッセージとして、誰にも「読まれない」というメッセージとして封印されているような気がしてきた。こんなことをしていいのだろうか、とさえ私はどこかで感じていた。公になっている橋村さん自身の言葉はとうてい信じる気にはなれない。
時間を封じ込めることはできない。封じ込めたと思った先から、封じ込めたつもりの時間が血を流しながら滴り落ちる。図らずも私は今回東京に携えたお土産に託したイエイツのイメージが「時は滴り落ちる」だった。
未だ見ぬ段階で私が想像的直観で書いた『未来の原風景』の「原=オリジナル」への引っかかりは、その辺に関係していたのだということが今にして分かる。過去、現在、未来、という言葉に惑わされては、実は何も見えない。しかし、惑わされずに見えるものは、見てはいけないものなのかもしれない。分からない。