神戸在住の平凡なサラリーマンを自称するjimihen-2さんのブログ『おやじの口福論』は、自炊料理を中心とした軽妙な文章+美味そうな料理の写真を通して、平凡なようでいて実は非凡な生き方と、シンプルすぎるためにつかまえることが難しい「生きる希望」のつかまえ方をいつもさりげなく示していて、とても気持ちがいい。
昨日のエントリー「映画 『ありがとう』 を観終えて」を読んで、今まで感じていたことのすべてに合点がいった。jimihen-2さんは1995年1月17日神戸大震災で大きな苦難を強いられた被災者だったのだ。11年前の試練は私の想像に余りあるが、その体験がjimihen-2さんの人生にとってもグランドゼロになったのだということがよく分かった。映画『ありがとう』の感想と被災の体験が合わせ鏡のようになって互いにその意味を深め合うような見事な文章だった。
ベタな映画だ。ストーリーも荒削りで、カット割りもうまいとは言えない。
でも、素晴らしい映画だった。映画が、監督が、言いたいことがストレートに
伝わってきた。 ただ生きていること、ただ家族一緒にご飯を食べている
こと、それがどんなに幸福で素晴らしいことなのかを教えてくれる。
その「ただ」に気づくために人はどんなに遠回りし、多くの場合道を見失ってしまうことか。jimihen-2さんは毎日ささやかな料理を心底楽しみ味わう姿をさらけ出しながら、そんなメッセージを送り続けている。