巣壷はオブジェだった

札幌、晴れ。暖かい。

青空はすこし霞(かす)んでいた。

2月25日以来、2月26日3月6日3月8日、と断続的に記録しながら、毎朝眺めては楽しんで来た謎がようやく解けた。



庭にこんな巣壷と蔓の十字架があるお家の若夫婦と話した。巣壷の様子を見ながらその家の前を通り過ぎようとしたとき、玄関先で車に荷物を積んでいた奥さんと目が合って、挨拶を交わし、「あの巣壷なんですが、」と言い終わらないうちに、彼女は、すべてを了解したかのように、生き生きとニコニコしながら、巣壷にまつわる物語を一気に語ってくれた。驚いた。それだけでなく、家の中で作業していたらしいご主人まで呼び出して下さった。三人でしばらく巣壷談義に花が咲いた。驚いたのは、巣壷は、なんと、近所のCOOPに入っている百均(100円均一ショップのキャン・ドゥ)で購入したということだった。そして感心したのは、「本当は餌台の方が、野鳥は来てくれるんでしょうが、あれはオブジェでいいんです。」と笑って語ってくれたご主人の余裕だった。若奥さんは、笑いながらも、野鳥が巣壷に見向きもしないことをちょっと不満に思っているようだった。蔓の十字架といい、この家の庭の独特の雰囲気にどこか遊び心のようなものを感じていた私は合点が行った。

散歩の帰り道、藻岩山を振り返ると、一瞬目も柔らかくなるような雲が浮かんでいた。電線にカラスもいた。

独り善がりに「ルリカラクサ(瑠璃唐草)」と呼ぶことにした一般名「オオイヌノフグリ」を今朝もしゃがみ込んでよく見た。昨日、rairakku6さんやyukioinoさんがコメントしてくださったが、色の薄さが気になっている。色からいうと、yukioinoさんも指摘してくださったように、たしかに在来種の「イヌノフグリ」に思える。しかしイヌノフグリは北海道には生育しないと専門書には書かれている。もしかして両者が交配して生まれたハイブリッドなのか。それとも何らかの原因で、本来の発色ができないだけのか。環境的にはトウモロコシ畑の隅っこだが、土壌は真っ黒で栄養分には恵まれているようだ。地面にへばりついている蔦状の茎に触れてみたが、元気そうだった。果実が実れば、その「フグリ」のような形で一目瞭然なのだが。

楽しそうに会話しながら、明らかにどこか目的地に向かって、手をつないで歩いて行く幼い兄妹がいた。カーペンターズの兄妹を連想した。

自宅近くの裏山の雪もかなり解けて、木々の根元の周りには穴があいた。