From Munich to Cahors:365Films by Jonas Mekas

ジョナス・メカスによる365日映画、5月、126日目。


Day 126: Jonas Mekas
Sunday May 6th, 2007
6 min. 05 sec.

surfers in
Munich and
kayakers in
Cahors

ミュンヘンのサーファーと
カオールカヤック乗り

ミュンヘン市内のとあるレストランで歓談するメカスと三人の若者。フランス語訛りの英語で、写真は魂を盗むと言われる反面、写真に撮られることじたいが悦ばしい面もあると語る真面目そうな若い男。でも、こんなふうに馬鹿をやったりしているところを撮られて見せたいということもあるよ、ともう一人の若い男。それは馬鹿げている、と真面目な男に突っ込まれた彼は、そう、無意味さ。でも無意味は不可能だし、不可能は不可能じゃない、ミステイクはミステイクでいいじゃないか、と人を煙に巻くようなことをいう。

急流の狭い川か、狭いプールの人工の波、でサーフィンする若い男二人。

カオール市内のロット川に面した内装作業中の建物の中。窓からは川が一望できる。その川の急流部分に二艘のカヤック。建物の外に出る。ちょっとした広場になっている。南仏の田舎町らしい落ち着いた風情。どこからともなく音楽が聞こえてくる。四人の幼い子どもたちが二人ずつペアになってその音楽に合わせて踊っている。音楽が止む。音楽をせがむ子どもたち。再び音楽が聞こえ始め、子どもたちは踊り出す。買い物袋を提げた母親らしき女性が来る。彼女の後を追うようにして、子どもたちは皆で手をつなぎながらその場を後にする。

最後に、サン=テチエンヌ大聖堂の北の入口のキリスト昇天の彫刻。

***

カオールはパリから600キロほど離れたフランスの南西部、スペインとの国境沿いのミディ=ピレネーと呼ばれる地域の人口2万人ほどの小さな街だが、市内のサン=テチエンヌ大聖堂 (cathédrale Saint-Etienne)とヴァラントレ橋 (pont Valentré)は、世界遺産フランスのサンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼路」の一部として登録されている。また、カオールと言えば、日本では知名度が低いが、古代ローマ時代からの歴史を誇る赤ワインの名産地でもある。「カオールのワインは、中世初期には既に濃くボディのあるワインとして評判を呼び、13世紀頃にはロンドンで売られていたという記録も残っています。中世以降、ボルドーワインが台頭しだしてからも、"カオールの黒ワイン"は人気が高かった」*1という。特にタンニンの含有量が多いマルベック種のオーセロワ(Auxerrois)100%の「黒ワイン」を飲んでみたいものだ。