with Zara & Peter Beard@Montauk:365Films by Jonas Mekas

ジョナス・メカスによる365日映画、7月、197日目。


Day 197: Jonas Mekas
Monday July 16th, 2007
7 min. 26 sec.

the first chapter:
adventures of Zara
and Peter Beard --

第1章:
サラと
ピーター・ビアード(1938-)
の冒険

世界的に著名なダイアリスト(diarist)としてのピーター・ビアードについては、3月2日に詳しく紹介した。2月4日にメカスが「世界一寂しい汀」と呼んだニューヨーク州ロングアイランドの岬に位置するモントーク(Montauk)の海が見える土地にビアードは家族と暮らしている。ニューヨーク州最東端の町、さいはての町ともいわれ、日本で言えば知床岬を連想する。

一人娘の幼いサラを連れて、緑豊かな広い敷地の中を「冒険」するビアード。家の近くから、サラを背負って林道に入りどこかへ向かうビアード。その後を追うカメラ=メカス。林が終り視界が開ける。平原だ。向こうに海もちらりと見えた。巨石が点在し、地面に掘られた穴、コンクリートで矩形に成形された深さ1メートル余りの何かの壕、が残存する平原。ちょっと離れた林の中に古めかしい形の塔と建物が見える。上の写真は、巨石の上から度胸よくスカイダイビングするサラを下でキャッチせんとするビアード。何度も繰り返す。見ていてハラハラする。

そのうち壕の中に入って遊ぶサラとビアード。底は少し広くなっているようだ。サラからメカスに声がかかる。「降りておいでよ」。メカスは一つ返事で、カメラを同行者に手渡してから、穴の中に降りた。「蛇だよ」とふざけるメカス。「ジョナス、これは昔陸軍がナチの潜水艦を監視するために使ったんだ」とビアード。何壕というのだろうか。海が見え、潮騒が聞こえる。穴から出て、また巨石のひとつによじ登り、スカイダイビングを繰り返すサラ。

メカスたちがいる平原は海岸から切り立った崖の上にある。メカスは崖の縁にたって、海岸線を見下ろし、岬の先端までゆっくりとパンする。メカスは二度、花にカメラを向けた。最初は林道に咲く黄色い花。次は平原にぽつりと咲く白い花。サラの大きさから見て、前回3月2日の映像と同じ頃、1993年頃の映像だと思われる。14年前。メカスもまだ若い。顔がほっそりとしている。「第1章(the first chapter)」ということは、モントーク篇はまだ続くのだろうか。