that's where I'd like to be today!:365Films by Jonas Mekas

ジョナス・メカスによる365日映画、7月、199日目。


Day 199: Jonas Mekas
Wednesday July 18th, 2007
3 min. 28 sec.

canoeing in
Vermont ---that's
where I'd like to be
today!

バーモント
カヌー。
これが
今日だったら!

バーモント州のどこだろうか。シャンプレイン湖Lake Champlain)だろうか……。いつもながら、時と場所に関する説明などは一切ない。そんな知識になにほどの意味があるというのか、そんな知識をお前は本当に必要としているのか、という声が聞こえる気がする。普通の意味での情報を欠いた、ただただ、まだ幼い娘と息子とまだ若いメカスの三人が静かな水面をゆっくりと滑るカヌーの上で、周囲の景観を眺めたり、意外と浅い水底を凝視したり、たわいないおしゃべりをしたりして過ごした不特定の、でもおそらく普遍的な至福の時の記録。普通でないのは、そんな様子を撮り続けるカメラ=メカスの存在である。メカスはその場にいながらもいないような奇妙な場所に立っている。すでに未来の場所から眺めている。そんな印象を受ける。もう永遠に戻れない過去の一場面がこうして映像として残り、その時から見れば、予想もつなかい未来である現在においてそれを見ることで、心中に湧きあがる押さえがたい感情をメカスは"that's where I'd like to be today!"と書き付ける。しかし、こうして現在見るという経験が過去の記憶の構造を豊かに変換することにもなる。たとえ、それが悲しみという感情に彩られたものだとしても。カヌーの先頭に乗った娘が漕ぐ櫓が立てる水音、カヌーの腹に当たる波音が耳に残る。

ちなみに、バーモント州のシャンプレイン湖には、チャンプ(Champ)という名のUMAがたびたび目撃されていることを初めて知った。