reincarnation?:365Films by Jonas Mekas

ジョナス・メカスによる365日映画、8月、213日目。


Day 213: Jonas Mekas
Wednesday August 1st, 2007
7 min. 27 sec.

summer bar
three friends
two cats
nothing important

夏のバーで
三人の友
二匹の猫
特に何もない

何度か登場したバーの、明るい陽射しが差し込む窓際の木製のテーブル席で、ビールを飲みながら、雑談するメカス、オーグスト・ヴァルカリス(Auguste Varkalis)、そして見覚えがある若者、5月6日ミュンヘンのレストランで写真についてフランス語訛りの英語で話していた若い男(仮にS)の三人。Sの隣の席には一匹の白と黒の美しい猫がまるで彼の恋人のようにお行儀よく座っている。オーグストが、リトアニア語訛りの英語で、ロシアやウクライナには猫が人間になった話があると切り出すと、Sが「生まれ変わりって信じる?」と尋ねる。それを受けて、ダリウスとメカスは半分冗談、半分本気のモードで会話を楽しんでいる。メカスは言葉をやや濁しながら、「可能性は否定できない・・・人が信じるということは信じるよ・・・私はすべてのことを信じるよ」とか言っている。オーグストは「メカスはあれだ、ジョージ・ワシントンの生まれ変わりさ」とか言っている。それに頷いたりしている自分にカメラを向けるメカス。

Sの隣にいた猫はテーブル席を離れ、カウンターのハイチェアーに飛び乗って、そのまま腰を降ろす。その後ろ姿は店の常連客のような貫禄がある。しばらくして店のフロアーをメカスたちのいるテーブルに向かってもう一匹の同じような白と黒の猫が近づいてくる。メカスが右手を差し伸べるが、微妙な「距離」を保っている。

Sはネパールで出会った非常に知的な男が来世には仏陀になると本気で語ったというエピソードを楽しそうに語り出す。店内にカントリー・アンド・ウェスタン調の明るい歌が大きな音量で流れ始める。オーグストはだれか神秘哲学者の説を話しているが、ほとんど聞き取れない。メカスは二匹の猫を追う。フロアにいた猫はメカスとオーグストの背後の壁の棚に飛び乗って、そのまま出窓のスペースまで優雅に歩いて行き、そこの日だまりで横になる。窓の外をじーっと見ている。もう一匹の方も、カウンターのハイチェアーの上でこちらを向き前脚を畳んだ。目を閉じて眠りかけたたと思った瞬間、何かに驚いたかのように急に窓辺のもう一匹の猫に視線を向ける。メカスはその視線の先へとカメラを向けて、猫の視線になる。