ジョナス・メカスによる365日映画、9月25日、268日目。
Day 268: Jonas Mekas
Tuesday, September 25th, 2007
4:55 min.
glimpses of
Lake Maggiore --
マッジョーレ湖
の面影…
薄曇り。周囲をそんなに高くはない(おそらく1000m未満)山に囲まれたかなり大きな湖が視界に入る。山が湖面に映っている。一定のかなりの速度で走行する車中の右側助手席から左手、運転手側のフロントガラス越しにメカスはカメラを向けている。運転しているのは娘のウナ。後部座席に膝の上でガイドブックを開いている息子セバスチャンがいる。片側二車線の高速道のようだ。湖が視界から消え、道路の前方にやや高い山がふたつ聳えている。おそらく1000m以上はある。頂上付近には雲がかかっている。
雑誌か新聞の上に飲みかけのビールの入ったグラス。湖畔のレストランのようだ。緑の木々の間に石づくりの家が点在する。遠くにかなり高い山が見える。2000m以上はありそうだ。レンズを直視するまだ幼いセバスチャン。小袋から何かの錠剤を取り出しテーブルの上に並べているウナ。
数種の木々の向こうに湖面が見える。向こう岸にはそんなに高くない山々。湖は山と山の間を縫ってもっと向こうに続いているように見える。カメラはゆっくりと左にパンする。山のなだらかな稜線が左肩上がりに続き、頂上付近には雲がかかっている。左手から湖岸がせり出している。カメラは少し下にティルトする。湖岸すれすれを通る片側一車線の蛇行した道路が眼下に見える。メカスたちは湖岸の小高い場所にあるレストランにいるらしい。カメラはなめらかにゆっくりと右にパンする。レストランの直下、湖岸までの間に数件の家の屋根が見える。そしてカメラは最初のポジションに戻り、一本の南国風の細長い子葉の羽状の葉を広げた木(未同定)にクローズアップする。
突然、夕闇の湖面。向こうの山の端から月が半分出ている。対岸の町の明かりが小さく見える。カメラは僅かに手ぶれしているが、同じポジションを維持しようとしている。何を撮りたいのかと思って見ていると、月が少しずつ昇ってくるところを撮っているのだと気づく。月がちょうど全身を現したところで、映像は途切れる。満月だった。
10数年前の子どもたちとのイタリア旅行シリーズ。
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「水」に関する不思議な符合を感じる。私は最近、自分が住む土地の血管のような川を随分と意識して見ている。先日は中山さんと連れ立って、日高、石狩、後志、胆振各地を巡りながら、川と湧き水と湖と海をいくつも見た。雨にも降られ、雲の中にも入った。すべては「水」だ。私たちは「水巡り」をしたのかもしれなかった。