白鳥湾の現実


9月19日、私の生まれ育った「鉄の街・室蘭」の観光名所のひとつトッカリショの展望台から何かを狙う中山さん。トッカリショのアイヌ語語源は「 トカル・イショ」(アザラシ・岩)。

中山さんのカメラのレンズの先にはこんな景観が広がる。

あるいは、こんな景観が。これらは地球岬と並ぶ、室蘭の港の外海の顔である。しかし…。


目を港の内側に転ずれば、こんな景観が広がる。

港の出口・入口近くには白鳥大橋が架かる。その昔、白鳥が飛来する美しい湾であったと伝えられる白鳥湾は、荒々しい波に削られ続ける外側をそのままに、穏やかな内浦を近代的な室蘭港に変貌させた。この内側の現実を見ずに、室蘭を見たことにはならないと常々思ってきた。この現実を受け入れた上でなおその向こうに美しい白鳥湾を見通す想像力を立ち上げることが必要なのだと。それは室蘭にかぎったことではなくて、日本中の景観に言えることだと思う。