ささやかなトチノキ・ストーリー

札幌、曇り。寒い。今季はじめて最低気温零下(−3℃)の予想。
今朝の藻岩山はこちら

トチノキ, 栃の木, Japanese horse chestnut, Aesculus turbinata)
毎朝、13本の街路樹を見上げながら歩く。12本はナナカマド(「ナナカマドは12本あった!」)。なぜか1本だけトチノキ「マロニエか栃ノ木か」)。どのナナカマドも葉はすっかり落ち、上を向いた枝先が目立つ。赤い実をたくさんつけている。トチノキの見事な黄葉(10月31日)もここ数日でどんどん落ち、今朝はほとんどすべて落ちていた。大量の落ち葉をひとりのご婦人が竹箒でせっせと掃き集めているところに遭遇した。トチノキに面した家の方だった。挨拶して、いくつか気になっていたことを尋ねた。彼女は快く色々なことを語ってくれた。去年は沢山実をつけたが、今年はつけなかったこと、赤い花もあるようだが、これは白い花をつけること、等々。そしてなぜ他の街路樹はすべてナナカマドなのに、そこだけトチノキなのかという私の質問には、なんとそこだけ植樹したナナカマドが二度も枯れたから、ということだった。ナナカマドを諦めてトチノキが植えられた。「へー、そうだったんですか!でも、ここだけ、不思議ですね。」と私はささやかなトチノキ・ストリーに感動した。「次から次へと葉が落ちるから、悲しくて」と言いながら、ご婦人は竹箒を動かし始めた。「でも、落ち葉もいいですよ。しばらくほっといたらどうですか。これはいいですよ」という私の言葉に彼女はかすかに驚きの表情を浮かべた。