ニック・ゼッド(Nick Zedd)について


昨日のメカスの365日映画で登場したアメリカのアンダーグラウンド映画界の奇才ニック・ゼッド(Nick Zedd, 1958-)に関しては、ウェブ上にまとまった日本語情報は存在しない(グーグルで「ニック・ゼッド」を検索すると、私の昨日のエントリーが三位にランキングされるほどである)。彼が役者として出演したレイチェル・アモーディオ(Rachel Amodeo)監督の映画『What About Me』(1992)関連の情報が散見される程度である。例えば、「過酷なニューヨークをありのままに描く『What About Me』」のような。

英語版Wikipediaには、ニック・ゼッドのフィルムメイカーおよび作家としての経歴とフィルモグラフィが載っている。それによれば、彼の顕著な活動は、「罪の映画」( Cinema of Transgression)という独自のカテゴリーを創始したことに始まる。それは敢えて怒り、怖れ、嫌気などの否定的な感情を呼び起こすようなコミュニケーション、あるいはブラック・ユーモアを用いたテキストやイメージを好む傾向のアーティストたちをゆるやかに結びつける集団名にもなった。その中ではニック・ゼッドと並んでリチャード・カーンRichard Kern, 1954-)がよく知られている。彼らをはじめとする「罪の映画」人たちの作る映画は、8ミリカメラを使った「超低予算映画」(very low budget films)ないしは「無予算映画」(No budget film)と呼ばれる。

ニック・ゼッドは映画制作の他には、『アンダーグラウンド映画便覧』(Underground Film Bulletin, 1984-90)と自伝的な著書二册を書き、Zyklon Bというノイズ・ユニットを結成してシングル「Consume and Die」(2000)をリリースしたり、近年は『Electra Elf』(2004-)というスーパー・ヒーロー物のテレビ・ドラマのシリーズを監督している。

参考: