以前、英米語編集者たちが聖書のごとく参照する『シカゴ・マニュアル』と「タフテ」ことEdward Tufte, The Visual Display of Quatitative Information(Graphics, 1983)について書いた。
その後、タフテの新作であるEDWARD TUFTE, BEAUTIFUL EVIDENCE(Graphics, 2006)が届いた。これはbookscannerさんお薦めの本でもある。
まだちゃんと読む時間はとれないでいるが、ぱらぱらと捲っていたとき、ある見開きと見開きに眼が釘付けになった。眼が「喜んでいる」のを感じた。
ガリレオ・ガリレイの『星界の報告』(1610)の後から追加されたというノンブルなしの見開きと、アンリ・マティスの『ポエジー』からの見開きが、ともに視覚に強く訴えるページ・レイアウトの例として詳しく解説されていた。
Like Galileo's page layout in The Starry Messenger showing the innumerable stars, the Matisse drawings break out of the typographic grid. (p.104)
それらはタイポグラフィにおける「グリッド」の常識を打ち破るものだというわけだ。なるほどと思った。そしてタフテはマティスの次のような興味深いデザイン観を表す言葉も引用していた。
The design fills the unmargined page, for the design is not, as usual, massed toward the center, but radiating over the whole sheet. (p.104)
デザインはページレイアウトの約束事としての余白までをも満たすものである、と。なぜなら、デザインは中心に向かって凝集するものではなく、紙面全体を超えて放射するものであるから。