枝垂桜と書屏風

昼に女房と近所のそば屋に行った。ひさしぶりだった。小上がりの席からは大きな窓越しに庭の枝垂桜が風に揺れるのが見えた。まるで見えない文字を空中に描いているようで、見飽きなかった。いつまでも見ていたかった。壁際には書の屏風が立ておかれていた。良寛の書が好きな私にとってはやや力が入りすぎた印象で、読めない文字も多かったが、運筆を眼で追うのは楽しかった。枝垂桜の揺れと書が頭のなかで重なった。ビデオを撮った。濃厚な出し汁の鴨せいろは旨かった。