夢のような出張から戻って寝込んだ

出張から戻った月曜日からひどい熱が出て、耳鼻咽喉の粘膜が腫れ上がり、意識朦朧として寝込んでいました。ようやく熱も下がり、今日から仕事にも復帰しました。まだ本調子ではありませんが(喋ると、鼻水が垂れてきたりして、息苦しくなるなど)、少しずつ取り戻して行きたいと思います。どうも、ご心配、おかけしました。

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そもそも風邪気味だったらしい不調の体を押しての出張だった。案の定、出張先では鼻水、悪寒、脂汗との闘いが続いた。日中は発熱のせいでふらふら、ボーっとしながら用件を済まし、夜の宿では睡眠中に気持ちの悪い汗を大量にかいた。悪夢にうなされていたような気もした。

いくつかの不吉な夢の断片が鮮明に思い出される。とある駅前広場で私に向かって鳩の餌を投げつける老婆の心ここにあらずの眼に吸い込まれそうになった。夜中じゅう宿の前の小路を非常にゆっくりとした足取りで行ったり来たりする背中に大きな瘤のある老人。長いコートを頭からすっぽりと被っているので顔は隠れて見えない。しかし、いつ突然面を上げ、その想像を絶する眼が私に向けられるかとどきどきしながら、私は彼の動きから眼が離せないでいた。...。いや、出張そのものが夢だったような感覚さえある。

出張は現実だった証拠として、訪れた先々で撮った写真が枚数は多くないが残っている。どうやって迷い込んだのか、地下鉄のプラットフォームに蝶がいた。しかし、その場所に自分がいたという印象は薄い。熱のせいだろう。ちょっと熱が出たくらいで、記憶のリアリティは揺らぐ。外部感覚が衰弱して、その時その場所でインプットされる情報が激減していたのは確かだ。