猫じゃらしはアキノエノコログサ

空き地に猫じゃらしが目立つようになった。先の垂れた花穗を見ると秋を感じる。同じエノコログサでも、これはその名もアキノエノコログサ(秋の狗尾草, Japanese bristlegrass, Setaria faberi)。実際には6月後半から咲き始めるところもあるらしいが、エノコログサは夏には終わり、秋にも咲いているのはアキノエノコログサだけのようだ。「エノコロ」とは「犬ころ」の訛りであるらしい。それに「狗(犬)尾」という漢字が当てられた。一般には「猫じゃらし」としてよく知られている。同じ植物に犬と猫にちなんだ命名が共存するのは面白い。ちなみに、食用になるようだ。

現在は一般的に食用としては認識されていないが、粟の原種であるので食用に使える。若い葉と花穂は軽く火であぶり醤油などで味付けしたり(風味はポップコーンに酷似)天ぷらにしたりして食べられる。ただし終戦直後大量に食べて中毒を起こした学者がいる。近代以前の農村では酷い飢饉の際にカラスムギなどと共にこれを食用としたこともあった。オオエノコロは粟の遺伝子が流入しているので食用に供しやすい。 また、猫じゃらしの名の通り、これを用いて猫をじゃらすことができる。*1