がんぜ、赤岩ポントマル

小樽市祝津の鰊御殿(にしんごてん)(背後に赤岩とよばれる断崖絶壁を控えた岬の上にある)の敷地内に八田尚之文学碑がある。小樽生まれの脚本家である八田尚之(はったなおゆき, 1905–1964)の顔があちら側からぬーっと突き出した印象的なレリーフとふるさと小樽の子供時代を詠った詩「がんぜ」に出逢った。「がんぜ」とは北海道方言でウニ、エゾバフンウニを指す。「がぜ」とも言う。


がんぜ

夏休みなると
おれたちは道ばたの
ざっぱ木を拾い拾い赤岩ポントマルへ
毛コのはえた兄分は褌
おれたちはふりちん
それっともぐり
一尋二尋きび悪いほど
青い岩肌に
めんこいがんぜ一つ二つ
……

 おたる文学散歩

気になる「ポントマル」とは小さな(ポン)停泊地(トマル)の意味だろう。確かに、赤岩と呼ばれる断崖がつづく海岸線は複雑に出入りしていて、かつて自然の泊として使用されたにちがいないと思われた。