ずっと前から、Kさんちの庭にはKさんの分身K’ がいて、道行く人々にユーモラスな波動を送っていた。
ひと月前には、立派なサラブレッドがやってきた。
K’ 夫妻は馬主になったのだった。これで決まりだと思っていたが、そうではなかった。
ど、どうしたんだ!? Kさんちの庭がキッチュ度を増していた。なんと、サラブレッドの前に、ダルマさん、ウサギ、カメ、ラッコが勢揃いして、何かを誘いかけるように、あるいは謎掛けでもするように、こちらを向いているではないか。Kさんの悪戯っぽい目が浮ぶ。明らかにひとつひとつにKさんの意図が感じられる。