不思議なモノクロームの写真を撮り続けたアマチュアの写真家がいた。マリオ・ジャコメッリ(Mario Giacomelli, 1925–2000)。新井敏記氏による辺見庸『私とマリオ・ジャコメッリ』の紹介記事ではじめて知った。
(2009年6月21日朝日新聞朝刊)
- 作者: 辺見庸
- 出版社/メーカー: 日本放送出版協会
- 発売日: 2009/05
- メディア: 単行本
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昨年、東京都写真美術館で展覧会が開催されていたことも知らなかった。迂闊だった。実物を見たかった。とはいえ、上の公式サイトで1953年から2000年までの計344枚の写真を見ることができた。もちろん、それでマリオ・ジャコメッリの写真を見たとは言えないだろうが、しかし、それでも彼の写真の異様な雰囲気、そこに写る異形の被写体の独特の質感、おそらく写真の根源的な暴力性に通底する、この世のものとは思えないある種の美しさは十分に伝わってきた。コントラストの強い白黒にこだわり、「色」を徹底的に排除したマリオ・ジャコメッリの写真を見ながら、改めて「色」とは何か、「写真」とは何か、と考え始めていた。
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