月とコンビニ



夜の散歩に出る。昨夜の寒さを思い出しながら、覚悟して外に出ると、拍子抜けした。寒気は緩み、風もなく、体感気温ではプラス数℃だった。夜の散歩を再開してちょうど一週間経つ。どうにか一日のリズムの中に組み込まれたようだ。家の明かりはほとんど消え、静まり返った住宅街の路上で立ち止まって、月を見上げて、ASAとシャッタースピードと絞りの設定に少し手間取ってシャッターを押す。シャッター音が響き渡る。しばらく歩き、コンビニに立ち寄って、ウィスキーを物色する。ニッカの一番安いやつを買う。レジで私の前に並んだスーツを着た若い男が肉まん1個を注文した。一瞬見えた彼の横顔は青白く、疲労が滲み出ていた。金を払って店を出て、道を渡ってから、なぜか振り返ってシャッターを押した。夜のコンビニは月に似ているとふと思った。