オリオン座

カメラを持たずに夜の散歩に出る。首や肩や腰や膝や足首の関節の凝りをほぐそうとして、くねくねしながら歩く。端から見たらかなり怪しいだろうなと思いつつ。ふと見上げると、空に雲一つなく、ほぼ天頂に月は皓々と輝き、その少し南側にオリオン座がはっきりと見えた。久しぶりだ。美しい配置。神話的だ。人工的な明かりのない砂漠で星空を見上げたいと思う。太陽ではなく月を崇めるイスラムの民は、アポロ11号の月面着陸のテレビ映像を見て神聖なる宇宙が穢されたとして憤慨したという話を思い出す。しかし、人間にとっての「宇宙」は、宇宙開発という発想と技術によっては永遠に到達しえないだろう。夜道を歩きながら、到底完全にはコントロールできず把握もできない自分の体を持て余しながら、これもまた宇宙に違いないと独り合点もしながら、そう思ったりした。