証券会社と旅行社

2年生の佐々木君によるある証券会社の取引疑似体験コンテスト参加に関する報告があった。疑似体験と言っても、相手は現実の市場である。バーチャルマネー300万円を元手にして、建設、石油、証券、小売りの5銘柄の株の取引を実際に体験することを通じて、複雑な要因によって変動する相手の変化を煩悩にまみれた我欲を抑えてどれだけ冷静に見切ることができるようになるかという訓練を積んでいるわけだった。「損切り」の難しさをしきりに訴える佐々木君であった。しかし、くれぐれも麻薬のような中毒性のあるゲーム感覚に溺れ振り回されることなく、金融を含めた社会全般に関する見通し、そして人生、生き方に関する学びをくれぐれも忘れないよう助言される。とはいえ、すでに優良な証券会社を精査してピックアップし、先輩たちの動向も調べ上げ、着々と本質的なシューカツを進める佐々木君なのだった。そういえば、佐々木よ、『風の旅人』(37号、38号)に編集長の佐伯剛さんが創業百年のばんせい山丸証券の藤井史郎社長にインタビューした「仕事は人に帰する」(37号)、「企業は人なり」(38号)と題した文章が載っているので、是非読んでみてほしい。サブプライムローンの病根、金融の意義、証券会社の本道がよく分かる。ばんせい山丸証券は、証券業界が推し進めるオンライン取引の潮流に抗うように、客と直に対話しながら金融商品の中身をきちんと説明する社員を増員して育てて行くという稀有な経営判断に基づいた企業戦略を中心にすえて、近年着実に実績を積み上げてきたそうだ。


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3年生の井戸君によるいわゆる本格的なシューカツ(就職活動)の一環である東京ビックサイトの就職イベントCareer Forum参加の報告があった。二日間で十社ほどの説明を聞き、目標をかなり具体的に絞ることができ、活動の展望も拓けたということだった。よしよし。ちなみに、今回の反省点は何? という質問に対しては、広い会場を動き回るので、靴擦れしないような履き慣れた歩きやすい靴がよく、メモを大量にとるので、小さなメモ帳ではなく大判のノートがよい、という答えだった。そういえば、井戸君、ユーラシア旅行社(http://www.eurasia.co.jp/)でも人材募集してるよ(http://www.eurasia.co.jp/recruit/boshu/index.html)。「旅を通して、自分を育てていく」と題した人材募集のメッセージにはこうあったよ。「ユーラシア旅行社の旅に参加するお客様は、ありきたりの旅では満足できなくなった人たちです。また、一般の旅行社のパッケージツアーの多くは、相変わらずコミッション目当てに免税店やお土産物屋に連れまわすものが多いですが、そうしたツアーを敬遠して、その土地ならではの体験を求めている人たちです。ユーラシア旅行社は現場主義ですから、社員は海外の異なる地域を数多く添乗します。世界を直接見て感じること、お客様と直接触れあうことで、初めてわかることがたくさんあるからです。社員になれば色々な国を訪れることができるなどと言うと、旅行好きの人は魅力的に感じることが多いのですが、自分で気楽に旅をするのと、その旅の運営に責任を持つことは大きく異なります。一流レストランで食事を楽しむ人と、そのレストランで食事やサービスを提供する人が同じである筈がありません。後者は、自分たちが提供するサービスの全てに神経をとがらせ、時間をかけながら最高のものを目指して切磋琢磨し続けるでしょう。旅行も同じで、本当の意味でのプロフェッショナルになるまでに時間もかかります。学ばなければならないこともたくさんあります。しかし、若い間に時間をかけ、苦労して自分のなかに築き上げた力は、後になって生きてくるのは間違いないと思います。自分で旅をすることも喜びだけれど、それ以上に、旅を通して多くの人に喜びを与える仕事に打ち込みたいと思う人は、ぜひ、左記まで応募書類をお送りください。」