藤の実の莢が炸裂した


フジ(藤, Japanese wisteria, Wisteria floribunda)の豆果(莢果)。1月4日の様子。


机に向かっていたら、机上の右前方辺りに突然ガラス玉が落下して粉々に砕け散ったような音が部屋中に響き渡った。驚いたのなんの。な、なんだ!? ところが机上にはガラス玉らしきものの破片はない。天井を見上げたが何の変化もない。部屋の空気がまだ微かに震えていた。一体何が起こったんだ? どこかに何か変化があるはずなのに、机の上には変化は見られない。ポルターガイスト(騒霊, Poltergeist)の仕業か? それならそれで面白いが、あの硬質の衝撃的な音の痕跡がどこかにあるはずだ。もう一度机の上を細かく点検した。右前方には色んな植物の果実などを置いてある。すると、何と、藤の実の莢が真っ二つに裂けて、片側しかないではないか。そうか、莢が炸裂したのか! もう一方はどこへ行ったんだ? 中の豆(種子)も二つしか残っていない。莢には五つの部屋がある。残りの三つの豆はどこに消えたんだ? 机の下を覗いてみた。あった、あった。平べったくて非常に固い豆が三個。しかし、莢の片割れが見当たらない。おかしいなあ。諦めかけた時、背の高い空き瓶に挿してあるホトトギスドライフラワーに異変を感じた。あった! 枯れ葉のたくさんついた茎に、藤の莢の片割れが引っ掛かっているではないか。机上から40センチくらいの高さである。裂けた時のエネルギーの大きさを物語っていた。こんなに飛び上がったのか。莢は木質のように固かった。しかも片割れ同士を合わせようとしても、反対側に捩じれるように変形していてぴったりと合わせることができない。おそらく部屋の中で乾燥する間に反対方向の捩じれによるエネルギーが蓄積されていき、あの瞬間に、接合部分の強さの限界を超えたのだろう。それにしても、植物の果実がガラス玉が落下して砕け散ったような音を出すとは恐れ入った。





今夜突然炸裂したフジ(藤, Japanese wisteria, Wisteria floribunda)の豆果(莢果)