秋鮭を狙う男達



登別川河口

登別 のぼりべつ

 川名、町名。登別温泉で名高くなったこの名の原形はヌプル・ペッ(nupur-pet 水の色の濃い・川)であった。従来このヌプルをただ濁っていると訳され、バチラー博士はmuddyと書いてきたのだが、少し違っていたようだ。ヌプルは元来「巫力のある」意。それでどぎつい感じが出、水の場合は色のついたのをいった。幕末の蝦夷地名解では「ヌプルとは強いと申す事」と書かれ、少し遅れたところの野作東部日記では「水色の濃しと云ふ夷語なり」と述べられ、最近では知里博士も同じ説を書かれた。今では登別川の下流で見ると、殆ど目立たないが、幕末の諸紀行では、ここを通って「川水白く流れ」、「川水黄色にして甚だ濁る」と書かれている。当時は温泉水がひどく流れていて目立っていたのであろう。

 山田秀三『北海道の地名』387頁