待合所



歩き疲れてたまたま通りかかった待合所の木製のベンチに腰掛けた。待合所の天井はなぜか鏡張りだった。ぼんやりと鏡を覗いていた。誰かと目が合うのをひそかに期待したが、天井を見上げる人はいなかった。鏡の中で、若者が私の隣に腰掛けると同時に携帯電話を覗き込んだ。しばらくたっても、天井を見上げる人はいなかった。私は何を待っていたのだろう。