精進川(澄川橋)


精進川。澄川橋から上流を望む。


澄川橋のすぐ傍で大掛かりな電気工事が行なわれていて、精進川沿いの道には、工事関係者が乗り付けた二台の白いトラックが白いガードレールに接するほど幅寄せして停まっていた。白いトラックもガードレールも最初は邪魔だと感じて、フレームから切ろうとしたが、フレーミングしているうちに、精進川が住宅街の真っ只中を緩やかに蛇行する構図にはむしろ必要な存在のように思えて来た。精進川の細い流れの両岸には雑草が生い茂り、ひと跨ぎで渡れそうなほどか細く見えた。岸辺の千島桜はとうに散った後で、わざわざこんな川の景色を眺めようとする人はいなかった。

 精進川(しょうじんがわ)の来歴

 精進川は南区の澄川から流れ、豊平区平岸に入って、中の島の東側の崖下をずっと通って、幌平橋のたもとで豊平川に注いでいる。ずいぶん前、札幌の地名を調べ歩いたころ、永田地名解が平岸の隣に「オソウシ。滝川尻」と書いた処を求めて歩いた。
 オソウシはo-so-ush-i「川尻に・滝が・ついている・もの(川)」である。この辺の川は精進川だけなので、その川尻の幌平橋に行ったが滝はない。あの長崖を伝って溯って行ったら、平岸の南端近くでやっと滝があった。変だと思って調べたら、あの崖下はもとは豊平川で、滝の処が元来の精進川の川尻(オ)だと分かった。

  山田秀三『北海道の地名』北海道新聞社、1984年、30頁



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