私の知らない異国の小さな町にいる娘が、先日偶然通りかかった市場で小さなカバの置き物を見つけ、私のカバ好きを知っているから、「これは運命だ!」と迷わず買ったと言って、写真を送ってくれた。可愛いすぎる。どんな市場だったのだろう? どんな人とどんな言葉を交わして、この河馬たちを手にしたのだろう。詳しいことはまだ分からない。それにしても、日本語だからか、市場と河馬の組み合わせがなんと新鮮なことか。そんな知らせがあった数日後、みゆき通りの藻岩下商店街を歩いているときだった。河馬と重なった市場の朧げなイメージが頭の片隅にあったからか、脇道の突き当たりになんと「市場」の文字が見えて、驚喜した。その路地を抜ける間、異国の小さな町の市場に足が向いているような気さえしていた。こんなところにこんな市場があったとは。しかも健在だ。こんな嬉しいことはない。食料品が中心の古風なスーパーマーケットといった風情である。もちろん、河馬の置き物のようなアンティークが置いてあるはずもなかったが、一瞬のこととはいえ、私はここではないどこかへ連れて行かれたような感じがした。
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