二人の男

殺菌されたような白い部屋で二人の男が灰色の机を挟んで彼を交互に詰問していた。言葉を信用していない彼はなぜか懐かしい思いにとらわれていた。返事をする間も無く男たちは矢継ぎ早にトンチンカンな質問を浴びせていた。彼が動揺して思わず本音を吐くのを期待しているかのようだった。しかし、彼は穏やかな気分で微笑みながら席を立ち、振り向きもせずにその部屋を出た。あの男たちは一体何者だったのか。死者のようでもあり、過去の自分のようでもあった。