今日は昼休みをはさんで二つゼミ(「専門演習」)をやった。
午前のゼミは2年生のI君とN君の二人だけ、午後のゼミは3年生のA君一人、という超小数精鋭ゼミである。
私の専門は哲学だが、所属が経営学部の情報系の学科で、そこの学生たちを受け持っている。
通称「三上ゼミ」、中身は森羅万象に及ぶ議論を通じて、生きる力を鼓舞し、自覚的な表現者となる道を拓くことを目指すというもの。需要と供給の常識的関係を超えたスーパーゼミである。このような視点からの学びは、経営系、情報系の学生にとっても役立たないはずはないことを力説する誘いの言葉を、対象となる学生向けに気合いを入れて書いた。
それに応募してきたのが、昨年は二人。内一人は家庭の事情で昨年暮れに退学したので、A君一人になった。そして今年は最初I君一人だったのが、実は昨日になって一人増えて、計二人になった。その学生N君は昨日の情報デザイン論終了後、研究室に戻る途中の廊下で背後から私に声をかけて来てたのだった。留年してしまい、大学から遠ざかり、退学しようと思い悩んでいたが、復帰することを決意して、ついては三上ゼミに入れてもれないか、ということだった。「いいよ」と私は即答した。「教務手続き上問題なければ、俺の方はいつでもOKだから、事務手続きだけちゃんとしといて。」その学生の眼差しを見て、この子は「行ける」と直観した。
そんなことで、午前中はゼミ初体験の二人を相手にブログの効用を熱く説き、早速本日から開始することを強く勧めた。併せて、手帳とカメラを常時携帯して、気になったこと、思いついたことをメモし、目に留まったものを撮影し、それをブログに載せていく、さらに研究テーマを早急に決めて、関連情報を収集し、それもブログにどんどん載せていくことを強く強く勧めた。ブログというメディアの特性や、最近のいわゆるWeb 2.0的動向、グーグルの凄さ、FlickrやYouTubeの話題なども織り交ぜながら、最後には、画像検索の難しさ、面白さ、哲学的にも深遠な問題が含まれていることなどについてまで、勢い余って話してしまった。だが、I君とN君二人はその最後の問題にいたく興味をしめし、身を乗り出して、私の話に耳を傾け、I君はこちらが聞きもしないのに、画像検索法のアイデアを語り出した。私は嬉しくなった。そのアイデアを巡って、ああでもない、こうでもないと三人で議論しているうちに、終了のチャイムが鳴ったことにも気づかなかった。二人は昼飯を食い損ねた可能性が高い。悪いことをした。
私の今日の昼飯は愛妻弁当。
午後からのゼミは、ファションデザイナーを目指しているA君とのいつものサシの勝負の世界。今日は、最近、登山とチベット仏教に目覚めたというA君の告白を発端に、ファッション、着物の向こう側に「自然」を見る必然性と、精神のある状態を作り出す宗教的身体技法と脳科学の知見、等をめぐって議論する。また終了チャイムの音に気づかなかった。