2008-01-01から1年間の記事一覧
視界不良の吹雪の中でもカラスたちは鳴き交わしながら楽しそうに飛び回っていた。
なんとか年内に間にあった。荒削りだが、本格的な無病息災幸福祈願雪だるま。身長約1メートル50センチ。体重50キロくらいか。結構重たい。核となる小さな雪玉を作ってから、それを新雪の上で転がして大きな胴体と頭を作るのが雪だるま作りの基本工程だが、…
湿っぽい雪、べた雪、濡れ雪とも言うらしい、が音もなく激しく降り続いている。藻岩山見えず。視界が分厚い雪のカーテンに遮られた気分。目は、その向こう側に藻岩山を見ようとしている。昨日の朝、温泉宿のテレビでアマゾン川に取材したドキュメンタリー番…
他人は気安く言うよね。 嫌なことは忘れろ、ってね。 君だって、きれいさっぱり忘れられたらどんなにいいだろうとずっと思ってきた。 でも、忘れられない。 忘れられないから、そのことで人生すべてを否定してしまいかねないところに今君はいる。 忘れようと…
近所のコープにおせちの食材などの買い出しに出かけた。予想通り、買い物客でごった返していた。やっとすれ違う人の表情や仕種が次々と瞬間的に網膜に焼き付けられる。すぐに思い出せなくなる「写真」がどんどん積み重なって行くかのようだ。そんななかで二…
昨日、女房の一人暮らしの母を迎えて、家族揃って、定山渓温泉で忘年会をしました。今年一年小さな病気や事故はたくさんあったものの、大きな不幸には見舞われず、まずまずの歳であったことを、天国を含めて、各方面に感謝を捧げて、ぱーっとやりました。今…
千切れて落ちる寸前の屋根の雪は、まるで白い布団のように見える。札幌、雪。小降り。藻岩山は雪に烟って見えず。一瞬、雲が裂けて、白い太陽が顔をのぞかせた。
誰からの電話にも出たくない日、それを察した知人が「ハッピーバースデイ」の歌声をさりげなく留守電に入れてくれる。それを聞いてその日が自分の誕生日だったことを思い出す。それは、生まれてから今までどんなことがあったにせよ、今どうであるにせよ、今…
煙突からそれと分かる煙が立ち昇っている光景はめずらしい。夏に大量の薪を準備していたお宅だ。ほとんどの家では灯油ストーブを使っているし、屋根から煙突は消えた。曇り空。小雪が舞う。藻岩山は霞んでいた。灰色の空がすーっと青くなる瞬間は何とも言え…
母の死後、父は多くの人の勧めを断って、再婚はせず、ずっと一人暮らしを続けて、2004年に亡くなった。これは1983(昭和58)年、父が53歳の時に撮った印象深い祖母の姿。写真の裏には黒のボールペンで「厚岸 アヤメ ヶ原」と走り書きされている。ひと目で父…
散歩の後半、一軒の空き家の屋根がスクリーンのように目に飛び込んでくる。毎朝違う「絵」を見せられる。今朝は一昨日積もった雪が部分的に滑り落ちて崩れた造形だったが、それもまたよい。「美しい」とは言えないかもしれないが、いい感じだった。こうして…
札幌、曇。何度か行きつ戻りつした季節も、ようやく落ち着いた感じ。気温は低いが、雪に半ば覆われた景色は寒々しくはない。ツララを見るのが好きだ。見慣れたアパート群では、ツララのできる屋根、できない屋根がある。空き部屋の上の屋根にはツララはでき…
Half Moon Bay, March 5th, 2005少し肌寒い日曜日の午後、息子娘同然のアパートの隣人ビルとメラニーに誘われて何度目かのハーフムーンベイに行った。ビルがサーフィンの練習をしている間、メラニーと私は、海岸に面したお気に入りのカフェのオープンテラス…
島尾伸三『中華幻紀』(ワールドフォトプレス、2004年)152頁部分 誰しも、帰る場所は自分で作らなければならない。島尾伸三の写真集(「照片雑文」)を見ながら、読みながら、家族や親子の宿命といってもいい一筋縄ではいかない関係に様々な思いを巡らせな…
昨日とはうってかわり、晴天。雪が眩しい。大気も光に満ちている。世界が軽くなったようだ。冷え込みはそこそこ。零下5、6℃か。一面の銀世界、と言いたいところだが、まだまだ醜い人工物が露出している。とはいえ、それらもいずれ廃れ壊れ消えることを思う…
現在の私よりもずっと若い父母。昭和50年、高校3年の夏に、日本海に面した岩内町の雷電温泉で、私が撮った父母。 雷電温泉 - Wikipedia この時母はすでに癌に冒されていた。それから数ヶ月後に入院し、その年の暮れに逝った。母の最後の写真である。父との…
夕方、自宅にADSLから光回線に切り替える工事が入った。回線の引き込み工事を担当したオッサンがかっこよかった。私よりも少し若い、多分四十代半ばか。ボーズ頭に浅黒い精悍な顔立ち。てきぱきとした、しかも時々鼻歌を歌う余裕のある仕事ぶり。無駄口はた…
昼間の雪掻きの最中に、突然鳥たちが鳴き交わす声が聞こえて、空を見上げると、ムクドリが四、五羽、強風に煽られながら、裏山の方を目指していた。その直後、裏山の林全体が、ゴワーン、ゴワーンと唸り始めた。初めて聞く恐ろしい音だった。あの音を再現す…
雪が小降りになったのを見計らって、家の周りの雪掻きをする。思ったより湿気の少ない雪で、軽かったが、小一時間ほどで汗だくになり、両腕と腰が重たくなった。試しに雪だるまを作ろうとしたが、雪が思うように固まらなかった。それでも、落ち葉を「アンテ…
暴風雪の夜が明けた。昨日の夕方までは雨だった。それが次第に気温が下がり雪に変わり、夜にはしんしんと降り続けていた。真夜中に二度雷鳴で目が覚めた。風太郎が怯えて吠えていた。一夜にして外は真冬の景色に変わった。いったんは小降りになった雪がふた…
中西さん(id:gintacat)さんがマックに言寄せて、人生における失恋の大切さを訴えていた。 僕がマックを捨てた理由 - design,web,computer & others 失恋とは一過性の出来事ではなく、一生続く人生の神髄なんだよ、と恋路の達人らしく静かに語っていた。千…
一昨日の深夜、家族が寝静まった後、一階の居間で古い日本映画を観ていた時、階段を降りてくる足音が聞こえたと思った次の瞬間、軽い叫び声と共に、黒い影が宙を横切って飛んで来て居間に落下した。妻だった。その瞬間には一体何が起こったのか分からなかっ…
夜、雪になった。
島尾伸三『東京〜奄美 損なわれた時を求めて』裏表紙部分 島尾家は、まるでサーカス一家のような、あるいは遊牧民のような、異常に引っ越しの多い暮らしだった。島尾家が暮らした主な土地は、神戸、東京都小岩、千葉県佐倉、千葉県国府台、東京池袋、奄美大…
あったかい。「ぬくい」という青森出身の祖父母の言葉が浮かぶ。雪はほとんどとけて消えた。
夢は、それ自体に意味があるわけではなくて、 島尾伸三『季節風』33頁