2008-02-01から1ヶ月間の記事一覧

万年筆から生まれた雫の書体:Amalia(2006) by Nikola Djurek

Amalia(2006) 欧文書体の今を知る Vol.6では、クロアチアのザグレブに住むニコラ・デュレク(Nikola Djurek)が設計したセリフ書体のAmalia(2006)がとりあげられている。Amalia(2006)の特徴は「万年筆のインクの溜まりを生かした、リズミカルでかわいい…

「スマイル」

東の空。札幌、晴。気温が上がり、風もなく、気圧も低くなく、大気が非常に安定した状態で、気分は春のようになる。 ムクゲ(木槿, Rose of Sharon, Hibiscus syriacus)。かろうじてまだ雪の上に出ている。 今朝もトウモロコシ畑の雪の上に思わず「A」を書…

企業制定書体(Corporate Type)

用事で出かけた中心街のデパートのパン屋さんでイギリスパンに出会った。しかも焼き立てだった。迷わず買った。先日「イギリス風」書体のことを書いたときに、ふと連想してイギリスパンのことを書き留めて以来食べたいなあと思っていたのだった。人間味のあ…

雪に書いた「A」

今朝もまたやや湿った雪が10センチほど積もっていた。トウモロコシ畑の新雪に人差し指と中指の間隔を一定に保って、平筆にみたてて、「A」の文字を書いた。見知らぬご婦人が怪訝な顔をして通り過ぎた。時々小雪がちらつく。雲の動き、変化が激しい。 藻岩山…

各文字が作り出す余白の形をデザインする:Jenny(2005, 2006) by Kai Oetzbach and Natascha Dell

Jenny(2005, 2006) 欧文書体の今を知る Vol.5で紹介されている書体Jennyを設計したカイ・エツバッハとナターシャ・デルは、ドイツのアーヘンに住むタイポグラフィーとフォント・デザインを専門とするデザイナーである。ナターシャはイラストもこなす。彼らの…

ナナカマドの実をめぐる抗争:キレンジャク、コムクドリ、ムクドリ

昨日から今朝にかけて湿った雪が10センチくらい新たに積もった。藻岩山の東側斜面が白くなっていた(→ 大判)。 コムクドリ(Red-cheeked starling)の顔 コムクドリ(Red-cheeked starling)のお尻 先日大群を見かけたキレンジャク(黄連雀, Bohemian Waxwi…

Yoshimasu GOZO, THE OTHER VOICE/L'ALTRA VOCE(2005)とOptima nova

大分以前に注文してあった本がやっと届いた。吉増剛造の『THE OTHER VOICE』のイタリア語版である。しかし、本文にはイタリア語のみならず、日本語、英語、ハングルの大小の活字が紙面縦に複雑に組まれている。イタリアの詩人であり映像作家でもあるマルコ・…

記憶の彼方へ001:私の知らない祖父母

三年前に父が亡くなったとき、母と祖父母はすでに亡くなっていたので、次は自分の番だと嫌でも思い知らされた。それまで背を向けていた死を色んな意味で直視せざるをなくなって、ちょっと戸惑った。父が住んでいた家を処分しなければならなくなり、祖父母の…

コムクドリ、ツグミ

札幌、曇のち雪。のち吹雪。昨日にくらべ寒気はさらにゆるんで、生暖かい感じさえしたが、雲行きは怪しく、散歩の途中から風が吹き始めた。そのうち雪もちらつき始めた。藻岩山も煙りはじめた(→ 大判)。 砂丘ならぬ雪丘。 コムクドリ(小椋鳥, Red-cheeked…

‽(感嘆修辞疑問符, Interrobang)、意図せざる意図をデザインする:Galaxie Polaris (2004, 2005) by Chester Jenkins

Galaxie Polaris (2004, 2005) Galaxie Polarisの「インテロバング」 Village: http://www.vllg.com/Village/ たしかデカルトは人間の最も深いパッションは「驚き」であると語った(『情念論』)と記憶しているが、そのような驚きは衝撃的な疑問と分ちがたい…

風雪紋

昨日はかなり冷え込んだ上に風も強かった。今朝は快晴。寒気は少し緩み、風もおさまった。ムクドリが慌てて原生林の方へ飛んで行く姿を見かける。ヒヨドリはいつものように数カ所で見かける。今朝の藻岩山(→ Mt. Moiwa, February 25th, 2008)。数日前にき…

カリグラフィーとの直接的な対話としてのネオ・ゴシック:Xtra Sans(2006) by Jarno Lukkarila

Xtra Sans(2006) 文字ってそもそも人間が生きてあることの最も深い感情が身体の多様な動きとなって顕われる、その軌跡の断片形のようなものではないだろうか。だから、実は文字は手書きが一番というのにも一理ある。翻って、画家が絵筆の先から繰り出す形を…

矢印には正規の書体ルールがない:Eric OlsonによるKlavika(2004)の試み

Klavika Klavika, Arrows: All weights, roman styles only. (no italic) 先日、「欧文書体の今を知る」シリーズをメモした。 欧文書体の今を知る、ことの意味 Frutiger*1 そのVol.1 : Klavika(2004) by Eric Olsonでは、「Frutiger(フルティガー)」をこよ…

暴風雪の後

猛吹雪の一夜が明けて、家の周りには新たに50センチ以上の雪が積もっていた。風太郎は部屋から出たはいいものの、深い雪に立ち往生する。本格的な除雪は後回しにして、とりあえず、細い道だけをつけて、散歩に出た。 珍しい風紋、「雪紋」。 除雪に追われる…

イギリス風とは:Bliss(1996, 2004) by Jeremy Tankard

Bliss 片塩二郎氏によれば、タイポグラフィーの「知の領域」の観点からは、フレンチレストランの看板にはGaramond(ギャラモン)が、イタリアンならBodoni(ボドニ)が相応しいと言うに足る理由があるのだった。 古いものとの対話(2008-02-13) それに倣っ…

雪降り止まず

雪が降り続いている。一時間に5センチ以上積もるペースでずっと降り続いている。夕方、二度目の雪掻きをしてから、除雪の追いつかない道を雪を漕いでコンビニに買い物に行った。道すがら今日何度目かの雪掻きに追われる近所の方たちに出会う。今9時過ぎだ…

Man of Aran(1934)、一匹のカニ

アラン [DVD]出版社/メーカー: アイ・ヴィ・シー発売日: 2002/02/25メディア: DVD クリック: 5回この商品を含むブログ (26件) を見る なんて美しい映画だろう。ロバート・フラハティ(Robert Joseph Flaherty, 1884-1951)監督のドキュメンタリー映画『アラ…

シジュウカラ

札幌、雪。昨晩から細雪が降り続いている。風はない。湿った小さな雪片がまっすぐに落ちて来る。 藻岩山は見えなかった(→ 大判)。 原生林。 シジュウカラ(四十雀, Great Tit, Parus major)がさえずっていた。「黒くて太いネクタイ」が大きな特徴的だが、…

ドキュメンタリー映画『Helvetica』(2007)、無個性の個性

映画のポスター Helvetica [DVD] [Import]アーティスト: Helvetica出版社/メーカー: Plexifilm発売日: 2007/11/26メディア: DVD クリック: 2回この商品を含むブログ (2件) を見る 日本でもNTTデータなどがコーポレート・タイプ(企業の制定書体)として採用…

ヒヨドリ

札幌、曇のち雪。 今朝の藻岩山(→ 大判)。今朝は住宅街から原生林に向かうコムクドリ(小椋鳥)の集団とムクドリ(椋鳥)の小集団の両方を見かけた。 散歩復路のアイスバーン。 空き地の奥の樹にヒヨドリ(鵯, Brown-eared Bulbul, Hypsipetes amaurotis)…

西のギャラモン体、東の明朝体

Dictionnaire Chinois, Francais et Latin, Paris,1813.(『漢字西譯』) ジョナス・メカスの365日映画(365Films by Jonas Mekas)、302日目(2007年10月29日)には、驚嘆すべき中国語、フランス語、ラテン語の対訳辞典が登場した。メカス一行がパリのアニ…

シメ(Hawfinch)

札幌、曇ときどき吹雪。 またシメ(蝋嘴、Hawfinch, Coccothraustes coccothraustes)の雌(♀)に出逢った。今朝も独りだった。今季五度目。タンポポ公園奥のニセアカシア(Locust tree, Robinia pseudoacacia)、別名ハリエンジュ(針槐)の棘のある枝に止…

活版印刷ワークショップ「活字よ、こんにちは。」続報

酒井博史さんの手になる活版印刷による「活版印刷ワークショップ」案内カード。美しい。 先日ある新聞社の方から活版印刷ワークショップに関する問い合わせがあり、今日ワークショップ会場となる日章堂印房で酒井さんとともに取材を受けた。その記者さんも、…

欧文書体の今を知る、ことの意味

粋で生きのいいAQの「欧文書体の今を知る」シリーズが面白い。 欧文書体の今を知る Vol.1 : Klavika(2004) by Eric Olson 欧文書体の今を知る Vol.2 : Bliss(200?) by Jeremy Tankard 欧文書体の今を知る Vol.3 : Xtra Sans(2006) by Jarno Lukkarila 欧文書…

Garamond、カリグラフィーの記憶

欧文書体のうち、16世紀以来の複雑な系譜をもち、もっともポピュラーで、もっともよく使われてきたのがGaramond(ガラモン、ギャラモン)である。書体としてのGaramondの概要はこちらで。 Variation of Garamond(朗文堂 type cosmique) ギャラモン(ウィキ…

ムクドリの雄たち、手形

太陽。そばに蹄鉄のような形ができていた。今まで見たことのない二種のゴーストが写り込んでいた。 住宅街の中通りでムクドリ(椋鳥, White-cheeked starling or Gray starling, Sturnus cineraceus)の雄(♂)の小集団に出逢う。「キュルキュル、キュルキュ…

世界とは何か

「世界」って、存在するものじゃなくて、その都度、つかの間に生成するものだと思う。その人が色んな事情で今生きているその場所でできるだけ多くのものに心を向けて、働きかけることによって「立ち上がる」のが「世界」だと思う。色んな人のブログを巡って…

スコップとはオランダ語の schopからきた語である、らしい

散歩往路、雪の壁。 アパート群の敷地内の畑。 出番を待つ昔ながらのスコップ(シャベル)。「スコップ」がオランダ語由来とは知らなかった。それに関西ではシャベルというらしいことも。そのスコップの主人はツルハシでゴミステーション前の氷を割っていた…

文房四宝

最近、活字地金彫刻師のことを調べていたせいか、この写真に一瞬、ハッとした。ドキッとした。鈍く輝くいびつな鉛板に文字を刻んでいるように見えた。これは最新号(2008年3月号)の「JAF Mate」に載っていた奈良県は「錦光園(KINKOUEN)」での墨作りの様子…

手の思想、手仕事

ジャック・デリダ(Jacques Derrida,1930年7月15日 - 2004年10月8日)は、文字とか声とか耳とか、暗闇でメモを取るとか、盲目の絵描きのこととか、手についてとか、およそ学問的知識の項目に値しないような周縁的な話題に思考を深く巡らせつつ、学問的知識の…