空き巣


家の窓から隣の廃庭にヒヨドリ(鵯, Brown-eared bulbul, Hypsipetes amaurotis)の空き巣が見える。全体が藤の葉群れに覆われた鬼胡桃の傾いた若木の幹からちょうどV字をなすように伸びた枝の途中にそれはある。よく見ると、その枝に巻きついた藤の蔓に巧く引っ掛かるように据え付けられている。親鳥の頭だけが巣の口から出ていること、抱卵中であることに気づいたのは夏の盛りだった(→ bricolage)。はっきりとは覚えていないが、親鳥は巣を離れることなく一日中卵を暖めてる様子だった。毎朝窓を通して親鳥の頭部が見えることを確認する日がどれくらい続いたかはっきりとは覚えていない。二週間ぐらい? その後短い旅から戻ると巣は空っぽになっていた。雛鳥の姿を見ることはなかった。