板屋楓だった



冬のある日、対照的な姿の二本の樹に心を惹かれた。一方は細枝もなく立ち枯れたように見えた。他方は細枝も多く生命力を感じさせた。何かの蔓が絡み付いていた。どちらも同定できなかったが、樹形から違う種だろうと推測した。




四ヶ月ぶりに会いに行ったその二本の樹はやはり対照的な姿を見せていた。一方はわずかに新葉を出していたが、かなり弱っているように見えた。他方は樹形が想像できないほど新葉が生い茂り、生命力に溢れていた。驚いたことに、葉の形からどちらもイタヤカエデ(板屋楓, Mono maple, Acer mono Maxim.)であることが分かった。そして後者に絡み付いているのはヤマブドウ(山葡萄, Crimson glory vine, Vitis coignetiae)だった。