桐の花、二強雄蕊


キリ(桐, Royal paulownia, Paulownia tomentosa


桐の花に関して、『牧野日本植物圖鑑』(北隆館、昭和32年、31版、増補改訂版)には「初夏大形ノ円錐花穂ヲ成シテ、紫花ヲ開ク。(中略)花冠ハ大形ノ唇形ヲ成シテ下唇開ク、内面に黄采アリ。二強雄蕊、一雌蕊ヲ具フ」と書かれている(150頁)。


「二強雄蕊(にきょうゆうずい)」は花の雄しべが2本という意味ではない。「二長雄蕊(にちょうゆうずい)」ともいい、花の雄しべが4本あるうち、2本は長く2本は短いことを意味する。たしかにそうである。


それにしても、桐の花はいい香りがする。


数多の植物図鑑に不満があるとすれば、香りに関する記述がまずないことである。梨の花は生ゴミのような悪臭がするとか、黒百合は小便か男の体臭のような臭いがすると書くのは憚られるかもしれないが、桐の花のような芳香ならちょっと記載してもいいのではないか、、。