過去は変えられる




過去の事実からなる世界は不動の固定した記憶ではなく、事実を表す言葉の組み替えや新たな言葉とのつながりによって、いつでも解釈し直され、書き換えられる可変的な記憶である。私がこれまで勧めてきた、日々の体験の記録と追体験の意義は過去の事実からなる世界の記憶を絶えず更新することによってのみ、可能性としての未来が拓けるのだということを身を以て知ることにあった。過去と真摯に向き合うことによってしか、未来は拓けない。事実からなる世界の記憶は言葉による追体験を介して可能性へと開かれる。