ジョナス・メカスによる365日映画、11月16日、320日目。
Day 320: Jonas Mekas
Friday, November 16th, 2007
5:24 min.
I have a date with
the President of
Lithuania,
Vladas Adamkus ---
リトアニア大統領
ヴァルダス・アダムクス
と会う。
大広間で居並ぶ取材陣のカメラのフラッシュが次々とたかれる。10人以上はいる。当然メカスは彼らをばっちり撮影している。「ハ、ハ、ハ、ハ」とメカスの暖かい笑い声。
急に壁の絵に注目するメカス。湖の絵（未同定）。間もなく、ヴァルダス・アダムクス大統領が入ってきて、メカスに握手を求め、リトアニア語で語りかける。ジョナス・メカス映像芸術センターの創設、公民権回復を機会に大統領が招待したのだろう。アダムクスはカメラを内心嫌がっているのが一瞬表情に出る。しかしカメラとともに生きてきたメカスは怯まない。メカスはちょっと遠慮気味に、でもしっかりとアダムクスの表情や広間の様子を撮る。
大きなテーブルにはオードブルとグラスが用意されている。「これしかないが、一緒に楽しもう」と英語で言いながらアダムクス本人が五つのグラスに赤ワインを注ぎ始める。列席者はメカス、息子のセバスチャン、スーツでビシッと決めたグッゲンハイム美術館のディレクターのクレンス、そしてどこか見覚えがあるが思い出せない男性二人。その他は大統領の側近たち。メカス以外はみんな緊張気味である。
場所は大統領宮殿。本物の宮殿が大統領官邸として使われている。
14世紀にまで遡る歴史をもち、何度も改修工事されてきたが、18世紀にはロシア皇帝、19世紀にはナポレオンが住んだことでも知られる歴としたパレス、宮殿である。
美しい庭に臨む回廊で歓談する大統領と列席者たち。メカスは少し離れた場所から皆を撮影している。話は弾んでいるようには見えない。
メカスは宮殿内で大勢の取材陣からマイク、カメラを向けられている。質問に答えながらも、逆に取材陣にカメラを向け一人残らずちゃんと撮る。「ハハハ、ハ」とメカスの暖かい笑い声。メカスが取材陣を「取材」しているように見える。
