it's not easy to be a tourist:365Films by Jonas Mekas

ジョナス・メカスによる365日映画、12月4日、338日目。


Day 338: Jonas Mekas
Tuesday, December 4th, 2007
5:58 min.

on tourism
as a form of
modern-day
Zen......

現代の禅の
一形式としての
観光旅行について......

「こちらはホリデイ・シーズンだよ。街はあらゆるところからやって来た観光客で一杯さ。友人の中には不平をもらしたり、観光客を馬鹿にする者がいる。私の考えていること、考えてきたことを話そうと思う。」

メカスはカメラに向かって、終始皮肉っぽい笑顔を浮かべ、ときどき笑い声を上げながら語る。

「観光客の集団が5番街(5th Avenue)やマディソン街(Madison Avenue)を歩いている。今やブルックリンにも押し寄せる。そんな観光客をみていると、自分もそのうちの一人になりたいなんて思うんだ。観光客っていうのは、禅の一定の段階のひとつの完璧な例じゃないかと思う。つまり、人生の一定の段階にいるということ。5番街を歩きながら、観光客達は何も気にかけない。ウィンドウの前に数分立ち止まるだけ。ウィンドウ・ショッピングだ。他のことは何も気にかけないんだ。ウィンドウ越しに靴とかパンツを見て、その値段を覚えたりするだけ。そして次のウィンドウに移る。ウィンドウの中のもの以外は何も見ない。なんと興味深い存在の有り様か。いつの日か私も他のことは全部忘れて、そんな状態に到達したい、夢だな。ただウィンドウを見て、楽しんで、幸せになれる、そんな状態。何もしない。何も気にかけず、ただ歩き、ホテルに戻って、食事を注文する。何だっていいんだ。実存の至福(bliss of existence)!自分自身を含めて何も問題じゃないわけだ。

友よ、ちょっとそのあたりのことを考えてみてくれないか。

君は、そんな存在の状態に到達できるかな?靴が一杯飾られたウィンドウを見て、無上の喜びを感じることができるかな?どうだい?それは禅以上の究極の状態じゃないか。私が言いたかったことは、観光客になることは簡単なことじゃないってこと。

友よ。」