考えてみれば、雪は不思議だ。急激な気温の低下によって大気中の水蒸気が氷結しそれが落下する間に成長し条件によって様々な形態の結晶を形作る。元を正せばただの水なわけで、大きく見れば、地球上の水の循環の一環である。それが地域によっては、冬と呼ばれる一定期間、循環の速度を落として地上に留まる。そんな雪に半年近くも覆われる土地に生まれ育った者にとっては、冬はある意味で時間が止まる季節なのかもしれない。降雪とともに時間が流れずに静かに降り積もる。生まれて初めて雪のない冬をカリフォルニアで過ごした時、心身共に非常に不調だった。心も体も急かされ浮ついていた。ともあれ、冬の真っ只中にそんな北の国の雪男に会いに来てくれる南の物好きが三人もいるということはこの上なく嬉しい。初心にかえって一緒にある意味で雪の巡礼と洒落込みたい。