三日前にフサフサの実を撮影したヌルデ(白膠木, Rhus javanica)の木にヒヨドリ(鵯, Brown-eared Bulbul, Hypsipetes amaurotis)が三羽止まっていた。辺りを警戒して窺いながら、房状に垂れ下がる果実を啄んでいた。近づくと一羽は気づいて飛び去った。カメラを向けるともう一羽も逃げた。離れた所から残った一羽を撮影した。ウルシの仲間であるヌルデの果実は、野鳥に好まれるという。リンゴ酸カルシウムが含まれているから、という説があるらしい。ヒヨドリは一所懸命カルシウム摂取していたのかもしれない。ちなみにヌルデの果実は乾燥したものが生薬の世界で「塩麩子(えんふし)」と呼ばれ、下痢や咳・痰に効能があるらしい。何でも食う大食漢、他の野鳥の食料も横取りすることがあるギャングとも異名をとるヒヨドリだが、「ひよ(どり)」は秋の季語でもあり、結構詠まれてもいる。
ひよどりのこぼし去りぬる実の赤き(蕪村)
蕪村はヒヨドリにどんな感情を抱いていたのか。また蕪村が詠う「実」は何の実だろう。私が見かけたヒヨドリたちはヌルデの実を食い散らかしてはいなかったが、少し離れたタンポポ公園では、エゾノコリンゴの木の下の雪の上にはおそらくヒヨドリを含めた野鳥たちが食い散らかした赤い実が散乱し、一面果汁で赤く染まっていた。ちなみに北海道のヒヨドリは南方のヒヨドリに比べて体色が白っぽいようだ。
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