デザインの退化

弁当箱型

北海道の多く(一説によれば9割強)の個人住宅では暖房用にいわゆる灯油ストーブが使われています。各戸には屋外に容量200リットルくらいの灯油タンクが設置されています。現在多く見かけるのは上の写真のように弁当箱を縦に置いたような直方体の味気ない形のものです。我が家もこのタイプです。

茶筒型ニュー

しかし、まれにこんな茶筒を横にしたような円柱型のものを見かけます。容量は200リットルくらいのようです。一世代前のタイプのようです。このタイプが設置されている家は、築20年以上という印象です。

茶筒型オールド

もっとまれに、上と同型ながら、長さが半分くらいのものを見かけます。容量が100リットル強といったところでしょうか。このタイプが設置されている家はさらに古い、主観的には築30年以上という印象です。

地球儀型

最後に、この地球儀を彷彿とさせる球形の灯油タンクは、私の長年(ここ2、3年)の観察によれば、町内には2つしか残っていない最も古いタイプのものです。写真は改築され比較的新しく見える家に設置されたものですが、このタイプが設置されているもう一軒の家は木造の空き家です。可愛いでしょ? 惚れ惚れするデザインです。譲り受けたいくらいです。

こうして年代順に並べてみると、どんな事情か分かりませんが、耐久性や機能性においては進化しているのでしょうが、「形」の美しさとしては明らかに退化していると感じます。たかが灯油タンクのデザインじゃねえか、と思われるかもしれませんが、家の一部としてなくてはならないものであり、しかも屋外に置かれ、目に触れることが少なくないわけですから、もう少し「形」にもこだわりが発揮されてもいいのではないかと思います。