背高泡立草


オオアワダチソウ(大泡立草, Goldenrod, Solidago gigantea var. leiophylla)、2009年08月05日撮影。



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藤原新也『東京漂流』の後半に私にも馴染み深いセイタカアワダチソウが日本人が嫌悪し排除するようになった「自然(カミ)」を象徴するひとつとして登場する。東京と北海道では季節感がだいぶズレていることを再認識した。当時芝浦に住んでいた藤原によれば、それは10月中旬から11月にかけて、ちょうど今頃から満開し、秋の風情を伝える最後の花であるということだが、私が住む札幌では8月下旬から10月初旬にかけて咲き誇る。しかも近似種のオオアワダチソウは7月から咲き始めるので、あの眩いクロームイエローの輝きは私にとっては夏の風情を伝える花である。藤原はセイタカアワダチソウをベランダで生けていたという。

 私のアパートの前の、駐車場がわりになっている空地の隅にも毎年鬱蒼と生える。この駐車場の管理人は、この花に憎しみを抱いているのか、それともアレルギー性鼻炎の持ち主なのか、秋、花が開くとすぐに刈り取りにかかる。私は彼が刈り取らぬ前に、それをひとかかえほど刈り取ってきて石油缶の水の中に突っ込み、ベランダの上に泡立草の茂みをつくる。(340頁)