窓から藻岩山、手稲山、さらには札幌岳、空沼岳を望むことができる演習室で、新1年生と初顔合わせ。初対面の緊張の中で、自己紹介に挑むまだ初々しい学生たち。出身地や趣味などについてたどたどしく話す。最初は私に視線を合わすことさえできない学生もいたが、次第に和やかな空気になる。手綱を緩めたり引き締めたりして自己紹介を進めながら、いまここにいることの幸せと4年後に照準を合わせた質問を織り交ぜて、一人一人と語り合う。私と同郷(室蘭)の子、私と同じ町内の子、私の祖父と同郷(青森県五所川原)の子、新潟からやって来た子、留萌からやって来た子、日高からやって来た子、本別からやって来た子、柔道をやりながらブレイクダンスが趣味の子、一人暮らしを始めてすでにかなり本格的に料理に取り組んでいる子、将来お店を持ちたいという子、教員になりたい子、銀行マンになりたい子、家業を継ぎたい子、経理の仕事に就きたい子、などなど、全員がそれぞれの今まで(過去)を背負い、これからどういうふうに歩んでいこうか(未来)、本質的な迷いや悩みや葛藤の入口に立っている。まだ本人たちは明確に言葉にできないが、しかし、その声と眼差しの奥にはそれぞれの夢が垣間見えた。これから半年後、そして1年後にどうなっているか楽しみである。
今朝は散歩ができなかったので、授業の合間に買い物がてらキャンパスを散歩した。すると一人の警備員さんが声をかけてくださった。「先生の本を読んだことがありますよ」「え? 何かの間違いでは」「あのおとぎ話の本」「ああ、不思議の国のアリスについて書いた本ですか」「そう、そう」「それは恐縮です。ありがとうございます」思いがけないお声掛けに、工藤さんとしばし立ち話する。「こうして出会った方とは記念撮影がしたくなるんです。一枚いいですか?」「もちろんです」というわけで、もう10年以上前に書いた「<世界>にであうレッスン------『不思議の国のアリス』を読む」の読者に出会ったのだった。三上も歩けば人に出会う。